第122話『ロドリゲス保釈』の巻

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ロドリゲス

rodriguez健康産業ラブカロリー株式会社の元オーナー。逮捕され拘置所生活を送る。サラの夫でゴンザレスの父。

サラ

saraロドリゲスの妻でゴンザレスの母。夫の浮気を常に心配しているが夫婦仲はよい。極度のダイエットオタク。

ゴンザレス

gonzalezロドリゲスとサラの息子。父にたくましく育てられるも、母の影響で女の子趣味に育つ。目下お受験準備中。

しずかちゃん

shizukaロドリゲス憧れの女性。長い黒髪と潤んだ瞳が印象的。出演映画のヒットでトップ女優に躍り出る。

潤子ちゃん

junkoバーバラの縁故でラブカロリー社に入社。元上司シェフチェンコに一途な思いを寄せ、彼の子を妊娠。

シェフチェンコ

shevchenko元経営戦略室部長。ロドリゲスの退任後、跡を継ぎ社長に就任。ロドリゲスの闇の姿を知る数少ない人物。

登場人物相関図はこちら


前回までのあらすじ

ラブカロリー社の社長夫人に王手をかけた潤子ちゃん。娘を日本に連れ戻すため、潤子ちゃんの父がやってきた。国際結婚のむずかしさをとうとうと話して聞かせる父。だが、潤子ちゃんの決意に揺るぎはない。一方、長い間、拘置所生活を余儀なくされていたロドリゲスに、ついに保釈が認められる――。

保釈後、ゴールデンタイムの報道番組にゲストとして出演するロドリゲス

After being bailed out, Rodriguez appears as a guest on the prime time news show.

キャスター:

保釈おめでとうございます。拘置所の住み心地はいかがでしたか?

Newscaster:

Let me congratulate you on being released on bail. What was it like living in the detention center?

ロドリゲス:

いや~もう、久しぶりに骨休めできましたよ。たまってたLEONのバックナンバーぜんぶ読みましたもん

Rodriguez:

Oh, I managed to rest my bones for the first time in a long time. I read through the back issues of LEON that had been lying unread, you know.

キャスター:

今回の「ラブカロリー社独占禁止法違反事件」は、何者かによる告発に端を発していると、一部で報道されていますが

Newscaster:

According to reports by certain sources, the incident involving the violation of the antimonopoly law by Love Calorie originated with a tip-off being made by someone.

ロドリゲス:

…真相は、わたしもわかりません。

しかし…スペインの孤児院で育った、地位も名誉も学歴もない男が、ここまでのしあがったんだ。そりゃ、目ざわりだと思う人間もいるでしょう

Rodriguez:

The thing is….I don’t know the truth, either.

But…..a man who was raised in an orphanage in Spain, of low social standing and poor educational background, managed to grab power. So, it’s quite natural to consider that there might be someone who loathes me.

キャスター:

ご存知かと思いますが、ちまたでは、ラブカロリー社やあなたが独占禁止法に違反したか否かで意見がわかれていますよね。この点に関して、ロドリゲスさんのご意見をお聞かせください

ずばり、あはたは有罪ですか?それとも、無罪ですか?

Newscaster:

As you probably know, public opinion’s split into two on whether Love Calorie and you violated the monopoly low or not. I’d like to hear your views regarding this matter.

Cutting to the chase, are you guilty or not guilty?

ロドリゲス:

おほん…。有罪か無罪かは、司法省が決めることです。彼らが有罪と言うのであれば、有罪でしょう

Rodriguez:

Ahem…that’s up to the Department of Justice to decide. If they say I’m guilty, yes, I may be guilty.

キャスター:

ラブカロリー社社長シェフチェンコ氏は、二度とあなたをラブカロリー社に迎え入れないと断言されましたが…

Newscaster:

Mr. Shevchenko, the president of Love Calorie, declared that they aren’t going to have you at Love Calorie anymore….

ロドリゲス:

ラブカロリー社の代表取締役社長がそう言うんだったら、そうなんでしょう

Rodriguez:

If the CEO of Love Calorie says so, it maybe true, I think.

キャスター:

ご自身が一代で築きあげたラブカロリーに、未練はないのですか?

Newscaster:

Haven’t you had any regrets about leaving Love Calorie which you founded yourself in one generation?

ロドリゲス:

未練もなにも。しばらくは、ご無沙汰してた家族サービスに専念しますよ

Rodriguez:

As regards regrets, not a bit. I’m going to dedicate myself to serving as a family man since I haven’t done so for a long time.

キャスター:

そのご家族についてですが…ここしばらく、奥さまと息子さんの姿を見かけない…つまり、ご家族があなたを…見捨てた、との噂が流れていますが…

Newscaster:

Now, about your family…Lately no one has seen your wife and son….Actually, rumor has it that your family has abandoned you….

ロドリゲス:

え!?そんなことないでしょう!?

おかしいな…昔、妻がつくりおきしてた冷蔵庫の寒天ゼリーを半分食べたら、烈火のごとく怒られたことがあったけど…。あのときと同じで、実家にでも帰ってるのかな?

Rodriguez:

What!? No, that’s impossible!

Strange…She once lost her temper when I ate the half portion of Kanten jelly that she made and kept in the fridge….Maybe she’s gone back to her hometown like she did that time?

bail out:保釈する

prime time:(テレビの)ゴールデンタイム

* ゴールデンタイムは和製英語

what is (was) it like:~はどんな感じですか?

※今日のトリビア

感想や意見を求めるときに使う口語表現。例えば、旅行帰りの人に What was it like there? と聞くと、(そこ、つまり旅行先)はどんな感じでしたか?という意味になります

detention center:拘置所

for the first time in a long time:久しぶりに

rest one’s bones:骨休みする

back issues:(雑誌の)バックナンバー

lying:横たわっている

* 本文では、読まずに「横たわっている」 → 「積まれている」

certain:とある、一部の

source:情報源、報道

originate with:~に端を発する

This plan originated with him.

(この計画は彼の考えに端を発する)

tip-off:内報、秘密情報

the thing is (that):つまり

(例)The thing is that Jack doesn’t love you anymore.

(つまりはね、ジャックはもはや君を愛してないということなんだよ)

orphanage:孤児院

social standing:社会的地位

grab power:権力を持つ、のし上がる

it’s natural:~は当然である、~があってもおかしくはない

loathe:忌み嫌う

(例)I really loathe traveling by bus.

(私はバス旅行が大嫌いだ)

split into two:(意見などが)真っ二つに割れる

cut to the chase:(いきなり)本題に入る、端的に言う

guilty:有罪である

up to:~しだいである

(例)It’s up to you.

(どうするかは、君次第ですよ)

declare:断言する

found:設立する、築く

* find の過去形、過去分詞の found と混同しないよう注意しましょう

in one generation:一代で

as regards:~に関して

(例)as regards this incident

(この事件に関しては)

not a bit:少しもない

dedicate oneself to doing:~に専念する

(例)The actor now dedicates himself to charity work.

(その俳優は、現在、慈善活動に打ち込んでいる)

serve:仕える、役目を果たす

family man:マイホームパパ

rumor has it that:うわさによると

* that 以下は平叙文の形をとります

(例)Rumor has it that they are going to get married.

(うわさによると、彼らは結婚するらしい)

abandon:見捨てる

lose one’s temper:かんかんに怒る

(例)Losing your temper rarely helps.

(短気は損気)

the half potion:半分

次回予告

保釈金をしこたま積んで、一時の自由を手に入れたロドリゲス。さっそくテレビ各局に出演し釈明を重ねるも、自らの罪については言及を避ける。司法省との取引が進んでいるのか!?次回、ロドリゲスとアレックス、ふたりの狭間で揺れるしずかちゃんに乞うご期待!!

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 ジュミック今井(翻訳)

都内で英会話スクールを運営するかたわら、メルマガ『英語がぺらぺらになりたい!』を発行、英単語やフレーズを絵として覚える「イメトレ暗記」が好評を博している。アルファベットと音のルールを1冊にまとめた『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ほか、語学書も多数執筆。