第60話『育ての親よねすけ』の巻

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ロドリゲス

rodriguez健康産業ラブカロリー株式会社の元オーナー。逮捕され拘置所生活を送る。サラの夫でゴンザレスの父。

サラ

saraロドリゲスの妻でゴンザレスの母。夫の浮気を常に心配しているが夫婦仲はよい。極度のダイエットオタク。

ゴンザレス

gonzalezロドリゲスとサラの息子。父にたくましく育てられるも、母の影響で女の子趣味に育つ。目下お受験準備中。

しずかちゃん

shizukaロドリゲス憧れの女性。長い黒髪と潤んだ瞳が印象的。出演映画のヒットでトップ女優に躍り出る。

潤子ちゃん

junkoバーバラの縁故でラブカロリー社に入社。元上司シェフチェンコに一途な思いを寄せ、彼の子を妊娠。

シェフチェンコ

shevchenko元経営戦略室部長。ロドリゲスの退任後、跡を継ぎ社長に就任。ロドリゲスの闇の姿を知る数少ない人物。

登場人物相関図はこちら


前回までのあらすじ

映画『ルパン3世』のプロモーションのため日本に凱旋帰国したしずかちゃん。ところが、記者会見の席上、奈良で豆腐屋「よねまめ」を営む父親よねすけが自分の本当の親でないことを知らされ、当惑する。そんなしずかちゃんにとどめをさすかのように、今度は父危篤の知らせが。自分の出生の秘密を知るため、彼女は父のもとへ走る!

(ハイアットレジデンシーホテルのスイートルームにて、しずかちゃんと彼女のマネー

ジャー・ベンジャミン)

(Shizuka chan and her manager, Benjamin, in a suite of Hyatt Residency

Hotel)

ベンジャミン:

おれだ。ん?あ゛??今、なんてった?

しずかちゃんのお父さんが危篤だって!!?

Benjamin:

It’s me. Uh? What? What did you just say?

Shizuka’s father has fallen critically ill?

しずかちゃん:

お父さんがき…と…そんな…(失神するしずかちゃん)

Shizuka chan:

My father has fallen….critically….ill….oh, no….

(Shizuka chan has blacked out)

ベンジャミン:

しずか?大丈夫か、しずか!?

Benjamin:

Shizuka? Are you all right, Shizuka!?

(急遽、父・よねすけの住む奈良へ向かうしずかちゃん。実家に帰ってきた彼女は、

床に臥せって今にも死にそうな父を見つめている)

(Shizuka chan hurrying to Nara where her father lives. Returning to her

hometown, she has been staring at her father who is close to death in bed)

しずかちゃん:

うっううううう…お父さん、お願いだから死なないで…

Shizuka chan:

Ooooooh, daddy, for God’s sake, please don’t die…

よねすけ:

しずかよ。こんなことになってすまない

Yonesuke:

Shizuka. I am sorry for everything that happened to us.

しずかちゃん:

わっっびっくりしたー!お、お父さん、危篤じゃなかったの!?

Shizuka chan:

H…how surprising! Aren’t you in a critical condition, father!?

よねすけ:

最後にお前に会うまでは、死んでも死にきれん。

わしはな、豆腐屋よねまめのことは何も思い残すことはない。そらな、

たかが100円の仕事かもしれんし、つらいこともあった。今でこそ、

おからと豆乳を組み合わせた商品は売れているけどな、わしがおから

をあえて残さない「まめのまま」いう商品を作ったときなんか、どこ

のスーパーも「こんなけったいなもん売れるかい」いうて置いてくれ

んかったんや

でもな、その言葉がわしの闘志に火をつけて、いまでは、ちょっとし

たベンチャーや。自社ブランド「醤油いらず」もよう売れてるし、ロ

ドリゲスはんの紹介してくれた、米国商社と組んで、大豆をアメリカ

から輸入してる。なにもかも順調や、ただ1つのことを除いては…

ついにこのときが来たわ。お前に1つ言っておかなければいけないこ

とがあるんや

Yonesuke:

I can’t let myself die until I see you one last time.

I have nothing to regret about the Tofu shop “Yonemame”.

I guess that you might think it’s just a 100 yen job, and

indeed I suffered hardship. Now, products that combine okara

(tofu lees) and soy milk sell themselves, but when I first made

the product “Mameno mama in which I didn’t dare to leave okara,

no supermarket would accept it on their shelves,

saying “We can’t sell this kind of weird stuff”.

But those words increased my fighting spirit,

and now it has become something of a venture.

Our own brand goods “Shoyu irazu” sells a lot too,

and we import soybeans from the U.S, cooperating with

the U.S. trading company that Mr. Rodriguez introduced us.

Everything is going well, except for one thing….

The time has finally come. There’s something I must tell you.

しずかちゃん:

な、なんなの、お父さん!?

Shizuka chan:

W, what’s that, father!?

よねすけ:

実はな、わしはお前の本当のお父さんやないんや。おまえのお母さん

からおまえを預かって、育ててきただけなんや

Yonesuke:

To tell the truth, I am not your real father.

You were farmed out to me by your mother and I just raised you.

black out: 失神する、気を失う

(例)For a few seconds, I thought I was going to black out.

(ちょっとの間、自分が気を失うのではないかと思った)

hurry: 急ぐ

stare at: ~を見つめる

close to: ~が近い

* close to dead で「死期が近い、今にも死にそうである」の意。

for God’s sake: どうかお願いだから

critical: 危篤の

one last time: 最後にもう一度だけ

(例)I just wanted to see her one last time.

(最後にもう一度だけ彼女に会いたかった)

regret: 後悔する、悔いる

suffer: 苦しむ

hardship: 困難、辛苦

combine A and B: AとBを組み合わせる

lees: かす

dare to: あえて~をする

(例)Jack wanted to ask her out, but he didn’t dare.

(ジャックは彼女をデートに誘いたかったが、あえてしなかった)

shelve: 棚

weird: 変な、奇妙な

stuff: もの

※今日のトリビア

staff と stuff について。

前者は、「社員・職員」。今回のダイアログにも使われている。

後者の stuff は、口語で「もの・こと」の意味。

fighting spirit: 闘争心

something of a: ちょっとした

(例)He is something of a pianist now.

(彼は今ではちょっとしたピアニストだ)

farm out: (子供を)預ける、里子に出す

raise: (子供を育てる)、養う

次回予告

父よねすけの危篤を知り、急遽、奈良へ向かったしずかちゃん。病床に就く父の枕元で嘆き悲しむ彼女に、父はその生い立ちを語り始める。彼女の生みの親とはいったい!?

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 ジュミック今井(翻訳)

都内で英会話スクールを運営するかたわら、メルマガ『英語がぺらぺらになりたい!』を発行、英単語やフレーズを絵として覚える「イメトレ暗記」が好評を博している。アルファベットと音のルールを1冊にまとめた『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ほか、語学書も多数執筆。