第66話『お先に失礼いたします』の巻

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ロドリゲス

rodriguez健康産業ラブカロリー株式会社の元オーナー。逮捕され拘置所生活を送る。サラの夫でゴンザレスの父。

サラ

saraロドリゲスの妻でゴンザレスの母。夫の浮気を常に心配しているが夫婦仲はよい。極度のダイエットオタク。

ゴンザレス

gonzalezロドリゲスとサラの息子。父にたくましく育てられるも、母の影響で女の子趣味に育つ。目下お受験準備中。

しずかちゃん

shizukaロドリゲス憧れの女性。長い黒髪と潤んだ瞳が印象的。出演映画のヒットでトップ女優に躍り出る。

潤子ちゃん

junkoバーバラの縁故でラブカロリー社に入社。元上司シェフチェンコに一途な思いを寄せ、彼の子を妊娠。

シェフチェンコ

shevchenko元経営戦略室部長。ロドリゲスの退任後、跡を継ぎ社長に就任。ロドリゲスの闇の姿を知る数少ない人物。

登場人物相関図はこちら


前回までのあらすじ

ロドリゲスの念願かない、彼の経営する会社ラブカロリーはついに上場をはたす。人員も倍増、秘書室にも新人テスとブリンダが入ってきた。創業以来、ロドリゲスの秘書をしてきたベティは秘書室長に昇格。新たな部下を抱え、彼女の奮闘が始まる。

(秘書室で仕事中のベティと、帰り支度を始めるブリンダ、そして、何か考えごとを

しているテス)

(Betty working in the secretaries’ office, Brenda getting ready

to go home, and Tess being deep in thought)

ブリンダ:

(きゃ~、もう6時!7時にパトリツィオと待ち合わせしてるから、そ

ろそろ会社を出なきゃヤバいわ~)

Brenda:

(Oh, my God. It’s already six! I’m meeting with Patricio

at seven, so I’ve got to get going–)

ベティ:

ブリンダ、ロドリゲス社長がレストラン開発の視察で日本に行くときに

乗る新幹線だけど、あれを手配したのは、あ・な・た?

Betty:

Brenda, was it YOU who arranged Mr. Rodriguez’s bullet train

tickets for when he’s in Japan for the restaurant development

inspection?

ブリンダ:

は、はい…わたしですけど…?

Brenda:

Ye, yes….it was me, but…?

ベティ:

窓際の席をとるときは、対向列車の反対側をとるようにと言ったはずよ。

ボスはハードなスケジュールの合い間をぬって、移動時間に睡眠をとる

の。そんなとき、対向列車の振動に邪魔されたら、ゆっくり寝ることも

できないじゃない

Betty:

Didn’t I tell you to take the opposite side from the oncoming

trains when you are reserving a window seat? The boss always has

a sleep between appointments in his tight schedule. He can’t sleep

if he was bothered by the vibration made by oncoming trains.

ブリンダ:

ハイ。失礼いたしました。今後は気をつけます~

Brenda:

Yes, I understand. That was my mistake.

I will handle it carefully next time.

テス:

横から失礼します。車種の快適さは「のぞみ」がダントツですよ。早い

し、きれいし、トイレには便座クリーナーが常備されています

ところでベティさん、わたし明日お休みをとらせていただきたいんです

Tess:

Sorry to interrupt you, but “Nozomi” is the best

when it comes to vehicle comfort.

It’s quiet, clean and seat cleaner is provided in the restrooms.

By the way, Betty, would it be OK if I took a day off tomorrow?

ベティ:

いいけど、どうしたの?

Betty:

OK, but why?

テス:

ちょっと私用で…(競売物件をあさりに行くなんて口が裂けても言えな

いわ。それにしても、この前見つけた1DKのマンションは魅力的だっ

たな~。駅から徒歩2分で、オートロック、宅配ボックスつきだったわ

よね。6万ドルで落札して、家賃を月700ドルで貸したとしたら…7年

で元がとれるわ♪)

Tess:

For personal reasons…..(I could never say that I am going to

fish around at a condominium auction sale.

Anyway, the 1DK condominium I found just the other day was so

attractive….. 2-minute walk from the station, front security

door, and a delivery service box.

If I bid for it at a price of $60,000 and have someone to rent it

for $700 per month….it will pay for itself in seven years.)

(ロドリゲスが秘書室に入ってくる)

(Rodriguez is entering the secretaries’ office)

ロドリゲス:

ベティ、バーソロミューくんが稟議にかけてたプロジェクト予算だけど

さ、ほぼこれでOKって世界だから、ヨロシクって言っといて。あと、

リステリンのミント味がきれてたよ。最近、口にいれてるときと吐き出

すとき、身もだえするほど痛いんだけど、歯槽膿漏かな?

Rodriguez:

Betty, regarding the project budget which Mr. Bartholomew needed

a decision on, it’s more or less approved, so tell him to go for it.

And, I noticed we are running out of the Mint Flavor Listerine.

Lately, when I rinse my mouth with it and spit it out,

I get agonizing pain. Do you think I maybe have gingivitis?

(be) deep in thought: 考えにふける

get going: 出かける、出発する

bullet train: 新幹線

inspection: 視察

oncoming train: 対向列車

* oncoming は近づいてくるの意。

bother: 邪魔をする、手間をかける

sorry to interrupt you: 話しの途中、(じゃまをして)申し訳ございませんが

(例)Sorry to interrupt you, but do you have a minute?

(話し中のところ申し訳ないけど、ちょっといいかしら?)

vehicle: 車両

comfort: 快適さ、心地よさ

provide: 備える、用意する

(例)OK, I’ll provide the food if you bring the wine.

(了解、ワイン持ってきてくれたら、食べ物はこっちで用意するよ)

a day off: 休み

fish around: 探しまわる、まさぐる

(例)She fished around in her bag and pulled out a piece of paper.

(彼女は鞄の中をまさぐり、一枚の紙を取り出した)

condominium: マンション

* 英語の mansion はハリウッドの大スターが住むような 豪華な大邸宅を指します。

attractive: 魅力的な

front security door: オートロック

* 直訳すると「安全な正面玄関」

bid: 落札する

pay for itself ( ) in years: ~年で元が取れる

* かっこの部分には数字が入ります。

budget: 予算

more or less: 多かれ少なかれ、多少なりとも

approve: 承認する、賛成する

(例)The project wasn’t approved at the meeting.

(そのプロジェクトは、会議で認められなかった)

go for it: 目標向かって進む、がんばってやってみる

run out: 使い尽くす、切れる

rinse: すすぐ

spit out: ぺっとはく

※今日のトリビア
例えば、ガムを吐き出す (spit out gum) などの他、「不満をぶちまける」「(秘密など)を残らず言ってしまう」のように、比喩的な意味を持つ表現です。

agonizing: 悶絶の、もがくほど苦しい

次回予告

何を言われてもノー天気&若さが売りのブリンダ。会社を休んで競売物件を漁りに行く、将来の備えばっちりの独身OLテス。次回、ロドリゲスの直属の部下たちが登場!

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 ジュミック今井(翻訳)

都内で英会話スクールを運営するかたわら、メルマガ『英語がぺらぺらになりたい!』を発行、英単語やフレーズを絵として覚える「イメトレ暗記」が好評を博している。アルファベットと音のルールを1冊にまとめた『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ほか、語学書も多数執筆。