第116話『シチリアの太陽のように』の巻

header_rod

ロドリゲス

rodriguez健康産業ラブカロリー株式会社の元オーナー。逮捕され拘置所生活を送る。サラの夫でゴンザレスの父。

サラ

saraロドリゲスの妻でゴンザレスの母。夫の浮気を常に心配しているが夫婦仲はよい。極度のダイエットオタク。

ゴンザレス

gonzalezロドリゲスとサラの息子。父にたくましく育てられるも、母の影響で女の子趣味に育つ。目下お受験準備中。

しずかちゃん

shizukaロドリゲス憧れの女性。長い黒髪と潤んだ瞳が印象的。出演映画のヒットでトップ女優に躍り出る。

潤子ちゃん

junkoバーバラの縁故でラブカロリー社に入社。元上司シェフチェンコに一途な思いを寄せ、彼の子を妊娠。

シェフチェンコ

shevchenko元経営戦略室部長。ロドリゲスの退任後、跡を継ぎ社長に就任。ロドリゲスの闇の姿を知る数少ない人物。

登場人物相関図はこちら


前回までのあらすじ

司法省に赴く途中、何者かに命を狙われたロドリゲス。彼は、妻と子の身の安全を確保するため、サラの親戚が住むイタリアシチリア島にふたりをかくまわせる。ところが、世話になった家の主・叔父のガレッティは、シチリアマフィアの親分だった。初めて耳にするマフィア言葉に仰天するサラ。一方で、ゴンザレスは日増しにガレッティになついていくのだった――。

おばあちゃんお手製のアイスクリーム・セミフレッドを食べながら話をするゴンザレスとサラの叔父ガレッティ

Gonzalez and Uncle Galetti are chatting while eating grandmother’s homemade semifreddo ice cream.

ゴンザレス:

ねえ、おじちゃん。ふくじゅうのおきてって、なあに?

Gonzalez:

Well, Uncle. What does “rules of obeiden” mean?

叔父:

んん?「服従の掟」か?どうしてそんな言葉を知ってるんじゃ?

Uncle:

What? You mean “The Rules of Obedience”? How come you know such a big word?

ゴンザレス:

さっきね、おじちゃんのお友達がおそとでしゃべってたの。「ふくじゅうのおきてにそむいたから、しかたない」って

Gonzalez:

A little while ago, I heard your friends saying, “So, we’d no choice since they refused to follow the rules of obeiden”.

叔父:

うむ。そういうことか。

…ゴンザレスや、おとなになったらわかることじゃがな、社会にはルールってものがあるんじゃ。どの社会にもな。

そのルールにそむいて、かってなことばかりしていると、いつか必ず痛い目にあうんじゃよ。

「服従の掟」ってのはな、そんな勝手なことをしよるやつをこらしめる法律なんじゃ。

ゴンザレスにはむずかしいかったかのう?

Uncle:

Hum. I see, OK.

Listen…..Gonzalez. You’ll learn what it is anyway when you become a grown-up, but you must understand there’re certain rules in society. In every society.

If someone refuses to obey the rules and runs wild, one day, he or she will end up having a bitter experience.

“The rules of Obedience” is a law to punish such people who do what they want.

Is it a bit too difficult for you, Gonzalez?

ゴンザレス:

ふ~ん…。パパも、痛い目にあうのかな?

Gonzalez:

I see. Well, one day, my daddy is maybe going to have a bitter experience, too?

叔父:

(なんと!この子はわしの言ったことが理解できたというのか!?小さいのに賢い子じゃ…)ゴンザレスはお利口さんじゃのう。

だいじょうぶじゃよ。おまえのパパは、社会に新しいルールをつくることができる男、いわば“チャレンジャー”じゃ。

そうじゃのう、健康産業の世界からは足を洗うかもしれんがの、シンガポールかどこかで力をたくわえて、また戻ってくるわい

Uncle:

(How surprising! This boy has already gotten the meaning of what I said!? He’s small but learns so quickly) Gonzalez, you’re such a smart boy.

You don’t need to worry about it. Your daddy is a man who can make new rules in society, in other words, you can call him a “challenger”.

Well, he’ll probably have to cut all ties with the fitness industry, but he’ll be back after building up his energy in Singapore or somewhere else.

その夜。サラに寝かしつけられるゴンザレス

That night. Sarah is tucking Gonzalez into bed.

サラ:

ね~んね~ん~、ころ~り~よ~、おこ~ろ~り~よ~♪

Sarah:

Rock-a-bye baby, on the tree top…♪

ゴンザレス:

ねえ、ママ

Gonzalez:

Hey, mommy.

サラ:

なあに?ゴンザレス

Sarah:

Yes, Gonzalez?

ゴンザレス:

今日ね、ガレッティおじちゃんにね、「ふくじゅうのおきて」をおしえてもらったの

Gonzalez:

Today, Uncle Galetti taught me “rules of obeiden”.

サラ:

ふくじゅうのおきて?なにそれ!?

Sarah:

“Rules of obeiden”? What on earth is that!?

homemade: 自家製の、手作りの

obedience: 服従 * 動詞は obey

how come: なぜ (= why)

big: 重要な、大切な (= important)

a little while ago: 少し前、さっき

refuse: 拒む、拒絶する

grown-up: おとな

※今日のトリビア

grown-up は、とりわけ子供が大人に対して、または大人が子供に向かって使う表現。一般的には adult (成人)を用います

(例)If you’re frightened, tell one of the grown-ups, OK?

(恐くなったら、おとなの人に声をかけるのよ、わかった?)

(例)The cost of the trip is $80 for adults and $35 for children.

(旅費は大人80ドル、子供35ドルです)

certain: ある種の、とある

(例)certain day ある日

run wild: 好き放題する、勝手気ままに振舞う

end up: 結局~の羽目に合う

have a bitter experience: 痛い目にあう

* 直訳すると「苦い経験をする」

law: 法、掟

punish: (法的に)罰する、懲らしめる

learn quickly: 学びが早い、飲み込みが早い ⇒ 「賢い」とイメージ

smart: 頭のいい、賢い

* なお、やせている(スマート)は、英語では slim と言います。

cut all ties with: ~と縁を切る、足を洗う

fitness industry: 健康産業

build up: 増強する、積み上げる

(例)The most important thing is to build up a sense of fellowship.

(最も重要なのは、仲間意識を育て上げることです)

energy: 力、活力

* power は「(政治的)権力」という意味でも使われます

tuck someone into bed: ベッドに寝かしつける

Rock-a-bye baby, on the tree top: 典型的な子守唄のひとつ

* Twinkle, twinkle little star…もポピュラーです

what on earth: 一体全体

* what などの後につけて、その疑問詞の意味を強調します

次回予告

ボスへの絶対服従を旨とする、マフィア絶対の不文律「服従の掟」。ゴンザレスはガレッティからマフィアの規律を教わる。これまで行儀正しく、おとなしく、女の子趣味に育てられてきたのだが…!?次回、舞台はラブカロリー本社。ロドリゲスが去ったあと、ひとり孤軍奮闘するリヴに乞うご期待!!

decorations_tinsel_balls_twig-Christmas_Holiday_Wallpaper_medium

 ジュミック今井(翻訳)

都内で英会話スクールを運営するかたわら、メルマガ『英語がぺらぺらになりたい!』を発行、英単語やフレーズを絵として覚える「イメトレ暗記」が好評を博している。アルファベットと音のルールを1冊にまとめた『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ほか、語学書も多数執筆。