第7話『自社開発商品バンブーブレード』の巻

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ロドリゲス

rodriguez健康産業ラブカロリー株式会社の元オーナー。逮捕され拘置所生活を送る。サラの夫でゴンザレスの父。

サラ

saraロドリゲスの妻でゴンザレスの母。夫の浮気を常に心配しているが夫婦仲はよい。極度のダイエットオタク。

ゴンザレス

gonzalezロドリゲスとサラの息子。父にたくましく育てられるも、母の影響で女の子趣味に育つ。目下お受験準備中。

しずかちゃん

shizukaロドリゲス憧れの女性。長い黒髪と潤んだ瞳が印象的。出演映画のヒットでトップ女優に躍り出る。

潤子ちゃん

junkoバーバラの縁故でラブカロリー社に入社。元上司シェフチェンコに一途な思いを寄せ、彼の子を妊娠。

シェフチェンコ

shevchenko元経営戦略室部長。ロドリゲスの退任後、跡を継ぎ社長に就任。ロドリゲスの闇の姿を知る数少ない人物。

登場人物相関図はこちら


前回までのあらすじ

ジャパニーズヒップホップアレルギーが原因で、腹痛をおこしてしまったサラ。ロドリゲスは、そんな彼女に、外来文化を受容しながらも独自の発展を続ける日本文化の魅力について、切々と説くのであった…

ロドリゲス:

フンフンフンフン!

(自社開発商品“バンブーブレード”を手にエクササイズするロドリゲス)

なあ、この商品イカすだろ?

わが社の新商品なんだ。なんせ、100パーセント日本産真竹でできてる

んだよ。手にもったときのこの吸い付くようなフィット感がエクスタシー♪

この前、日本へ出張に行っただろ。あの時竹やぶに行く機会があってね。

ひらめいたんだ「竹なら、もっとよくしなる!」ってね。

Rodriguez:

Hum hum hum…!

(Rodriguez exercising with a home development product,”Bamboo Blade”, in his

hands)

Look at this product. Cool, ha? It’s the newest gear from our

company. You know what, it’s made of 100% Japanese genuine bamboo.

The feeling of it in your hands fills you with ecstasy when you

hold it. I last went to Japan on business, right? I had a chance

to go into a bamboo grove. Then, I had a spark of genius:

“If made of bamboo, it will be more pliable!”.

サラ:

あなた、日本くんだりまで行って何をしてるかと思えば…。

Sarah:

Gee. What made you go all the way to Japan…….

ロドリゲス:

知ってるかな、サラ。日本の竹やぶは、アメリカ空軍の秘密基地・エリ

ア51に勝るとも劣らない摩訶不思議スポットなんだ。竹の子取りに来

た子供たちにとって、あそこはいわば社会の窓なんだよ。日本の竹やぶ

には、しばしば、「スーパー写真塾」や、スポーツバッグに入った億単

位の大金が落ちてる。そして、いずれの場合も落とし主は、決して名乗

り出ることがないんだ。

Rodriguez:

Do you know, Sarah? Japan’s bamboo groves are spots no less

mysterious than Area 51, the top-secret military base of the

United States Air Force. For the kids who go there to pick bamboo,

the place is, so to speak, a window on society. In Japan’s

groves, “Super Shashin Juku” magazine or millions of yen in a

sports bag are often left deserted. And, in every case, the

owners of the lost property never present themselves.

サラ:

ロド、あなたの言ってることぜんぜんわかんないわ。それに何よ、新商

品って。単なる竹じゃない。バンブーブレードだなんてどこかの商品ま

ねしたような名前つけて。訴えられちゃうわよ。

Sarah:

Rod, I don’t have the slightest idea of what you’re talking about.

Then, what? A new product? It’s only bamboo. You’ve named it

“Bamboo Blade” or whatever, but it sounds like an imitation of

some other products. They might sue you.

ロドリゲス:

そのあたりのリスク管理は君に任せるよ。さてと、腹痛もおさまったみ

たいだし、今日はそろそろ寝るか。

Rodriguez:

I will leave that sort of risk management to you. Well, your

stomachache seems to have gone away. It’s about time to go to

bed…Shall we?

product: 製品、商品

home development productは、自社開発商品

gear: 道具 (ここでは、ロドリゲスの会社の製品“Bamboo Blade”のことですね)

genuine: 真の

on business: 出張で

bamboo grove: 竹やぶ

spark: ひらめき

genius: 天才

* spark of geniusで ⇒ “天才のひらめき”

pliable: (ものが)曲がりやすり、しなりやすい

top-secret: 極秘の

so to speak: いわゆる

deserted: (人などが)見捨てられた、人のいない

property: 財産、所有物

present: (人が)出頭する

sue: 訴える、告訴する

imitation: 真似、偽造

leave + 人 + A: 人にAを任せる (何かをその人に“残す”イメージから)

It’s (about) time to A: そろそろA(をする)時間である

(例) Oh, it’s time to study! (あら、お勉強の時間だわ!)

次回予告

家に帰っても仕事のことが頭から離れないジャパニーズビジネスマンなロドリゲス。しかし、身重の妻への気遣いは忘れない。お前の涙は俺の拳で受けてやる!!

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 ジュミック今井(翻訳)

都内で英会話スクールを運営するかたわら、メルマガ『英語がぺらぺらになりたい!』を発行、英単語やフレーズを絵として覚える「イメトレ暗記」が好評を博している。アルファベットと音のルールを1冊にまとめた『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ほか、語学書も多数執筆。