
中国が米国債を売るとどうなるのか?
さて、中国が米国債を売り出しましたね。 これは、中国にキャッシュがないからです。 各国政府は、基本的には静観していますね。 何か新しい対策を打ち出すつもりはないようです。 まあ、やることと言っても、株を買うことぐらいしかないと思いますが。。。 FRBはQEを戻したほうがいいんじゃないでしょうか? ニュースを見てみましょう。
■■1.英語原文
(Markets on edge as policymakers flex muscles)
(1)
“Trader and investor nerves are a bit fragile at
the moment…
People are just unsure at the moment of whether
this is a good buying opportunity or not,” said
Paul Chesterton, a trader at brokerage Peregrine
& Black.
(一部引用 :REUTERS:NOEL RANDEWICH )
■■2.英文構造診断
(Markets [on edge:いらいらする] as policymakers [flex muscles:肩慣らしする])
(1)
“Trader and investor [nerves:気力] /S
are a bit [fragile:脆い] /V
at the moment…
People /S1
are just [unsure:自信がない] /V1
at the moment /
of whether /(unsure にかかっている of)
this is /S2V2
a good buying opportunity /
or not,” /
said /V3
Paul Chesterton, /S3
a trader /
at brokerage Peregrine & Black.
■■3.対訳
(Markets [on edge:いらいらする] as policymakers [flex muscles:肩慣らしする])
(政治家が肩慣らしで市場はイライラ)
(1)
“Trader and investor [nerves:気力] /S
are a bit [fragile:脆い] /V
at the moment…
(「トレーダーと投資家の気力は、現在やや脆い。」)
People /S1
are just [unsure:自信がない] /V1
at the moment /
of whether /(unsure にかかっている of)
this is /S2V2
a good buying opportunity /
or not,” /
said /V3
Paul Chesterton, /S3
a trader /
at brokerage Peregrine & Black.
(「人々は、今が世界的な買いのチャンスなのか否かに
現在自信がない。」と、brokerage Peregrine & Blackで
トレーダーのPaul Chestertonは述べた。)
■■4. 訳出のポイント解説(英語)
(無料版では、有料版冒頭部のみ掲載しています。)
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今日は前置詞全体についてお話しします。
さて、皆さんは、前置詞って言われると、どんなイメージでしょうか?
位置を表したり、期間を表したり、非常に重要だと思っている
人たちも多いと思います。
けど私のイメージは、「おまけ」です。
実は前置詞って、文章を理解するのを妨げる最大の原因なんですよね。
私の翻訳でも、前置詞の部分は、基本的には
1段下がっています。
これは、おまけだからです。
基本的に文章というのは、「骨格」と「おまけ」から
成り立っています。
そして、本当にみるべきなのは、「骨格」なんですね。
私のメルマガで、「英文区切り」の部分が何をやっているのかというと、
骨格をむき出すにする作業をしているのです。
例文を見てみましょう。
However, they say /骨格
that /骨格
since April /おまけ
bankruptcies /骨格
have been rising /骨格
among [transporters:運送業者] /おまけ
and [manufacturers:製造業者], /おまけ
because the [weaker yen:円安] /骨格
has lifted /骨格
the costs /骨格
of imported [fuel:燃料] /おまけ
and [raw materials:原材料]./おまけ
という風に、1段下がった部分は、「おまけ」
ですので、実は訳さなくてもいいんです。
実際、おまけを省いた文章がコチラ。
However, they say /骨格
that /骨格
bankruptcies /骨格
have been rising /骨格
because the [weaker yen:円安] /骨格
has lifted /骨格
the costs /骨格
どうでしょう?半分くらい削れて、すごく分かりやすくなったのでは
ないでしょうか?
■5.経済コラム
さて、中国はキャッシュに窮しているのでしょう。
米国債を売りました。
これは予想できませんでしたね。
米国債というのはアメリカの機嫌を損ねる行為でして、
これをすると、国際通貨化を推進している中国元に
悪影響を及ぼすと思ったからです。
しかし中国は150億ドル程度売りました。
先日の株式の暴落の時には、債券価格が上昇しませんでした。
通常であれば、株が下がれば、資金は安全資産である債券に向かうんです。
しかし上がらなかった。
それは中国が、ひっそりちゃっかり売っていたからです。
ではどのくらい売っていたのか?
これについては、Market Hackでも述べられていますが、
ちょうど米国が金融緩和から脱却する際のテーパリングで、
毎月100億ドルづつ米国債の買い入れを減らしていたんですね。
なので、テーパリング1.5回分の効果をもたらします。
ちなみに、金融緩和前回の2013年は、850億ドル/月買っていたわけで、
それに比べればかわいいもんですが。。。
まあ、額はともかくとして、中国が売ったという事実がでかいです。
中国の米国債保有額は、2015年4月時点で、1兆2729億ドル
とのことです。
中国が本気で米国債を売りに来たら、米国の金利は間違いなく高騰します。
(国債が投げ売りされ、価格が下がると、金利は上昇します。)
金利が上がれば、当然、お金を借りにくくなり、金融引き締め効果を
もたらします。
当然、これは米景気を悪化させます。
このように、米国債は下落リスク(金利高騰リスク)を抱えているわけです。
通常、経済は、景気が悪くなってもある程度自分で回復します。
というのは、
株式下落→債権価格上昇→金利低下→資金貸し出し増加→景気回復→株価下落
という流れがあるからです。
しかし、中国はこの債券価格上昇のところをポキッと折ってくれちゃったわけです。
とんでもないことしてきますよね。。。
今後の一番楽観的なシナリオは、アメリカが金融緩和を再発させることです。
中国が国債を売るのは、米経済にとって金融引き締めですから、
それが起こっては困る。
そのため、その分をFRBが買い受けるということです。
これにより中国はキャッシュを手に入れて株や不動産の買い支えができます。
では最悪のシナリオは?
利上げして、さらに中国が米国債を売ることです。
利上げというのは、アメリカが米国債を売ることです。
さらにこれに中国が絡んできて、政策金利以上の金利になってしまったとしましょう。
当然、景気は悪くなります。
さらに、米金利が高まると米ドルは上昇し、新興国にばらまかれた
通過がアメリカに戻ってきてしまいます。
これが新興国をぶっ潰すのです。。。
というわけで、米国の金利引き上げは見送られるでしょうね。。。(たぶん)
それにしても中国の動向から目が離せませんね。
次は何をやってくるのやら。。。
■■6.もう一度原文
(Markets on edge as policymakers flex muscles)
(1)
“Trader and investor nerves are a bit fragile at
the moment…
People are just unsure at the moment of whether
this is a good buying opportunity or not,” said
Paul Chesterton, a trader at brokerage Peregrine
& Black.
著者:八木 翼
経験から申し上げますと、急に英語の力がつくようなことは絶対におこりません。毎日の積み重ねでしか、語学は上達しないのです。そこで私が考えたのは毎日1分で読むことができる、経済英語ニュースです。私の和訳、解説付きですので、あなたが重い辞書を開く必要もなければ、私のサイトに来る必要もありません。メールをチェックするだけで、完全無料で英語を身に付けられます。
八木 翼
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