パワーランチを制するものは商談を制す!?日本人の苦手な「社交の英語」3

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(3) タブーを心得ておく

こんな話題や態度はご法度!!「家族」「宗教」「政治」「握手」…etc.

文化が異なれば、禁句やタブーとされる事柄もまた異なります。
次の会話を見てみましょう。

Natsuki:
Are you planning to visit your parents with your wife and children this summer?
Richard:
Well, I got divorced from my first wife. She gained custody of our children…
Natsuki:
Oh…Ah…


夏希:
この夏は、奥様とお子様をお連れになって帰省されるご予定ですか。
リチャード:
うっ、そうですね、離婚した最初の妻が子供たちの養育権を持っており…
夏希:
えっ、あ…

お盆に家族そろって実家へ帰省するというのは日本の話。結婚するカップルのなんと50%(!)が破局を迎えるアメリカでは、複雑な家族関係が常態化しています。「家族」の話題には、無闇に立ち入らない方がよさそうです。
そのほか、女性に対して「独身ですか」と聞くのは、セクハラだと言われても仕方がないような質問です。これも気をつけましょう。
以下に、「家族」の話題のほかに、ビジネスの席でご法度とされる代表的な項目を3つ挙げます。

≪宗教≫
アメリカ人の85%以上が何がしかの信仰心を持っています。
先進国では異例ともいえるほど、宗教の盛んな国ですが、社交では宗教の話は避けた方が無難です。
≪政治≫
初対面のアメリカ人と大阪でパワーランチの機会がありました。
その場で、相手の国をたてるという意味も込め、ブッシュ大統領の国内政策がすばらしいものだと褒めました。ところが、先方は根っからの民主党支持者で、あからさまに不快感を示されました。
これは大変とすぐに話題を変えようとしましたがうまくいかず、少し気まずい空気が流れたのを覚えています。
時事問題の知識を身につけるのは重要ですが、政治を話題にするのも難しい面があります。
≪握手≫
初対面では握手をすることがよくありますが、男性が女性に手を差し出すのはマナー違反です。あいさつの言葉だけを交わすにとどめ、女性の方から手を差し出せば、握手しましょう。
これはアメリカでは、ビジネスに限らず、一般的な社会マナーと言えます。

アメリカンジョークに最適!?地域の特色を話題にしよう>>

杉田米行(すぎた・よねゆき)先生プロフィール

1962年大阪生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校歴史学科修了(Ph.D.)。
現在、大阪外国語大学アメリカ講座准教授。専門はアメリカ研究と日本医療制度史。道楽(=研究)以外の楽しみは家族5人での団欒。最新の著書は、杉田米行編著『アメリカ〈帝国〉の失われた覇権』(三和書籍、2007年)。

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