映画『父の祈りを』からの出題
ヒューマン・ドラマ/実話/冤罪/法廷1993年/アイルランド、イギリスジム・シェリダン(Jim Sheridan)ダニエル・デイ=ルイス(Daniel Day-Lewis)、エマ・トンプソン(Emma Thompson)、ピート・ポスルスウェイト(Pete Postlethwaite)、ジョン・リンチ(John Lynch)、トム・ウィルキンソン(Tom Wilkinson) ほか
ベルファストで北アイルランド問題が深刻化していたころ、無職でトラブルメーカーの青年ジェリー・コンロンは、父のジュゼッペの勧めで、海を渡り、ロンドンに出てくる。しかし、ジェリーはロンドンでも自堕落な生活を送る始末。そんな中、1974年10月5日にロンドンのギルフォードで起きた爆弾テロ事件によって、ジェリーとジュゼッペ父子の運命が、大きく狂うことになる…。アカデミー賞7部門ノミネート。
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In the Name of the Father
(意味:父の名にかけて)-
「なんだ意訳か。“name”に“祈り”って意味があるのかと思った!」
と、また倒れてしまったツタ哉くん。でも実は、『In the Name of the Father(=父の名にかけて)』と
『父の祈りを』からは、ほぼ同じメッセージが読みとれるんですよ。まず、英語フレーズの確認から。
in the name of~ = (1) ~のために (2) ~の名において (3) ~に代わって (4) ~の名義で (5) ~という名目のもとに このうち(1)~(3)あたりの意味を使って、主人公ジェリーが、
ラストシーン(約2時間7分目)の裁判所前で叫びます。I will fight on
in the name of my father and of the truth僕は闘う!
父と真実の名に懸けて誓う!このように、誓いの言葉とともによく使われる「in the name of~」は、
「will」と組みあわせて、「絶対にやるゾ!」との決意があらわせます。また、台詞中の「my father」は、父ジュゼッペを指していますが、
英題中の「the Father」には、「父」以外に「神」の意味もあります。原作回想記の『Proved Innocent(=証明された無実)』という原題から、
映画タイトル『In the Name of the Father』に変更したシェリダン監督は、
表面的な「父のために」と、裏の意味「神の名において」を意図しており、
悪循環に陥る暴力沙汰にストップをかけたいという願いをこめたとのこと。このようなメッセージが“祈り”に近いことや、
映画中、敬虔深い父が常に祈っていた描写が印象的なことなどから、
邦題『父の祈りを』は、見事に考え抜かれた意訳だなぁと思います。
- 「in the name of~」を日常でつかってみよう!
- 裁判員制度について質問中です。
A:You mean I may be selected as a “citizen judge”
in the name of the law?
B:Yes. In that case, you’ll be one of those
who judge someone “in the name of justice.”A:法の名において、僕が“裁判員”に選ばれるかも、ってこと?
B:はい。その際は“正義の名にかけて”人を裁く側の一人になります。
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ふくみっつぁんのプロフィール
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!
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