リンキン・パーク『ワット・アイヴ・ダン』からの出題
オルタナティブ・ロック2007年/アメリカマイク・シノダ(Mike Shinoda)、チェスター・ベニントン(Chester Bennington)、リンキン・パーク(Linkin Park)リンキン・パーク
ラップロックやニューメタル路線のバンドスタイルを、この曲で一変。静かなピアノのイントロは、ヘヴィな生バンドサウンドに引きつがれ、チェスターの哀愁に満ちたパワフルなボーカルが最後まで駆け抜ける。収録された『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト(Minutes to Midnight)』というアルバム名は、「世界終末時計(doomsday clock)」のことで、核戦争の勃発を午前0時とすると、現在は午後11時何分なのかを表す。アルバムの中で最後に書かれた本楽曲は、四分音符=120のテンポ、つまり1秒ごとにダウンビートが刻まれ、カウントダウンさながら。映画『トランスフォーマー』の主題歌。全米チャート最高第7位、全英チャート最高第6位。
<iframe width="420" height="315" src="//www.youtube.com/embed/8sgycukafqQ" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
-
What I’ve Done
-
簡単な英単語が並んでいても、意味がよくわからないことがあります。『What I’ve Done』もそう。スパッと日本語に訳しにくい英語ですね。あえて和訳するなら「自分がやらかしたこと」といったところです。
ここでの「what」は「何」ではなく「こと」、そして、「I’ve(アイヴ)」は「I have(アイハヴ)」のくだけた言い方。
「did」も「した」ですが、過去の一時点しか指していません。いっぽう、「have done」を使えば、過去にしたことの余韻が、現在まで引きずっていることを感情的に表せます。
歌詞中にタイトル英語が出てくる部分を見てみましょう。
・wash away what I’ve done ≒ 自分がやらかしたことの罪を洗い清める
・cross out what I’ve done ≒ 自分がやらかしたことの事実を消し去る
・let go of what I’ve done ≒ 自分がやらかしたことへの責任を手放す
・I’m forgiving what I’ve done ≒ 自分がやらかしたことを水に流そう
自分の所業に対して、後悔の念にさいなまれているようで、今日それを帳消しにしてから、新たなる道を踏みだそうと、自信がないまま決意をしている歌詞内容です。
ちなみに、ミュージッククリップのバックには、ヒトラーから9.11テロ、麻薬中毒、地球温暖化など、取り返しのつかない数々の歴史場面が流れています。「I’ve」を「We’ve」に置きかえて拡大解釈した映像ですね。
- 「what ~’ve done」を日常でつかってみよう!
- 隣家から夫婦ゲンカの声が…
A:Look what you’ve done! I told you not to touch this.
B:How dare you! Your pet did it.A:なんてことしてくれたんだ!これに触るなと言ったはずだぞ。
B:よくもそんな口がきけるわね!あなたのペットの仕業なのよ。※「Look what you’ve done」の直訳は「君がしでかしたことを見てみろ」。
-
ふくみっつぁんのプロフィール
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!
メルマガ『日刊タイトル英語』ご登録はこちらから。