映画『真珠の耳飾りの少女』からの出題
ロマンス/歴史/伝記/アート2003年/アメリカ、イギリス、ルクセンブルグピーター・ウェーバー(Peter Webber)スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)、コリン・ファース(Colin Firth)、トム・ウィルキンソン(Tom Wilkinson)、キリアン・マーフィ(Cillian Murphy) ほか
1665年、オランダのデルフト。画家フェルメールの屋敷にやってきた使用人の少女グリートは、騒々しい家の中で、下働きに追われる毎日を送っていた。そんなある日、色彩感覚の才能をフェルメールに見出だされ、やがて絵の具の調合をまかされるようになったグリートは、実在の名画『真珠の耳飾りの少女』のモデルとなる。2人の間に立ちはだかる、嫉妬に身を焦がす妻と好色なパトロン。フェルメールに想いをよせる少女は、わが身を危険にさらす覚悟を決めた…。アカデミー賞3部門ノミネート
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Girl with a Pearl Earring
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「with」は「~とともに、一緒に」という訳語でおなじみですね。
I went to the Vermeer exhibition with Karla last week.
先週、カーラと一緒にフェルメール展に行ってきたよ。しかし、「一緒に」という訳語にしばられていると、今回の英語タイトルの意味は想像しにくいかもしれません。
実は、「パールのイアリング(耳飾り、本作ではピアス) を身に着けた少女」という意味のタイトルなんです。
the girl who wears a pearl earring
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the girl wearing a pearl earring
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the girl with a pearl earring
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真珠の耳飾りを身に着けた少女「○ who wears ◇」
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「○ wearing ◇」
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「○ with ◇」
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「◇を身に着けた○」もし、ツタ哉くんの言うとおり、「の」=「of」を使いたいのなら、「少女」がテーマの絵ではなく、逆に「耳飾り」が主題になるでしょう。
the pearl earring of the girl
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少女の(所有する)真珠の耳飾り「◇ of ○」
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「○が所有する◇」でも、この耳飾りは、モデルの少女(使用人のグリート)のものじゃなく、
フェルメールの奥さんの耳飾りだったというストーリー設定。
ちょ、ちょっと、フェルメールさん、
奥さんに内緒でその娘に貸しちゃって、危なくないですか!?天才画家フェルメールの生涯が謎に包まれていることをよいことに(笑)、
アメリカ人の原作者が、こんなステキな禁断の恋物語を夢想しました。
名画『真珠の耳飾りの少女』の英語名が、「of~」ではなく、
身に着けていても必ずしも自分の所有物でない「with~」を
使っていたから、このプロットが可能になったのではないでしょうか。
- 「~を身に着けた」という意味の「with」を日常でつかってみよう!
- かわいい人を見つけました。
A:Look at that girl with a red scarf. Isn’t she cute?
B:If you’d like to know each other, I could help you out.
He’s my little brother.A:あそこにいる、赤いスカーフの女の子、見て。かわいくない?
B:知り合いになりたいのなら、力になるよ。
あいつ、俺の弟だからな。
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ふくみっつぁんのプロフィール
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!
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