映画『恋愛適齢期』からの出題
ロマンティック・コメディ2003年/アメリカナンシー・マイヤーズ(Nancy Meyers)ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)、ダイアン・キートン(Diane Keaton)、キアヌ・リーヴス(Keanu Reeves) ほか
ハリー(ニコルソン)は、63歳の独身プレイボーイ。エリカ(キートン)は、54歳のバツイチ人気劇作家。ハリーはエリカの娘マリンと付きあっていたが、突然の心臓発作で、エリカに看病してもらうことになる。 30代の青年医師ジュリアン(キアヌ・リーヴス)も加わり、大人の恋愛模様がユーモラスに展開していく…。アカデミー賞1部門ノミネート
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何かが崩れなきゃ(妥協しなきゃ)いけない。
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ふつう「give」は「誰に何を与える」という形で使われます。
例:I’ll give you a hint.(ヒントをあげよう)
もし「give」のまわりに「誰に何を」がなければ、
give = 何らかの力に屈する、崩れる、妥協する
というような意味になることがあります。
「give up(あきらめる)」は、「完全に屈する」という感じ。60代のギャル専門ハリーと、50代の頑固者エリカは、それぞれ自分の生き方が決まっていたところなのに、思いもがけず、互いに惹かれあうようになるのです。自分が折れるワケには…と抵抗する様子を表したのが、今回のタイトル英語だと思われます。
Something’s gotta give. = Something has to give.
= 何かが崩れなきゃ(妥協しなきゃ)。
= そのうち爆発するかもよ。キビシイ制約や圧力、蓄積された不満などに対しても使います。
この映画タイトルの由来となったのは、フレッド・アステア主演のミュージカル映画『足ながおじさん(Daddy Long Legs)』(1955年)で、アカデミー賞にノミネートされた楽曲『サムシング・ガッタ・ギブ(Something’s Gotta Give)』だそうです。
不動の物体に抗しがたい力が加わると、つまり、年取った僕が君に出会うと、何かが崩れなきゃいけない。
直訳すると、そんな内容の歌詞ですが、字幕では「僕はたまらず恋におちる」と訳されています。この「たまらず」という雰囲気をおさえておきましょう。
年配の足ながおじさんが20才前後の娘に寄せた歌に、同年代のエリカに対するハリーの気持ちを代弁させたタイトルだと知ると、いっそう面白く感じました。
ちなみに、邦題は、ニコルソン主演『恋愛小説家(As Good as It Gets)』(1997年;アカデミー賞2部門受賞)のヒットにあやかるものでしょう。
抑えきれない衝動に駆られ、たまらず恋におちる“恋愛適齢期”とは、「give」するのであれば、いくつであってもいいということでしょうか。
- 「Something’s gotta give.」を日常でつかってみよう!
- どの業界も同じような悩みを抱えていますね。
A:Boss, we need more software development staff.
B:No more budget, Tsutomu. Finish it by tomorrow.
A:That’s impossible. Even if we could make it, something’s gotta give.
B:Well, give me your best shot, okay?A:ボス、このソフト開発にスタッフを増員してほしいんですが。
B:もう予算がないんだ、ツトム君。明日までに終えてくれ。
A:それはムリです。間に合ったとしても、後でシワ寄せがきますよ。
B:ま、全力を尽くしてくれたまえよ。
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ふくみっつぁんのプロフィール
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!
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