第106話『部下の裏切り』の巻

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ロドリゲス

rodriguez健康産業ラブカロリー株式会社の元オーナー。逮捕され拘置所生活を送る。サラの夫でゴンザレスの父。

サラ

saraロドリゲスの妻でゴンザレスの母。夫の浮気を常に心配しているが夫婦仲はよい。極度のダイエットオタク。

ゴンザレス

gonzalezロドリゲスとサラの息子。父にたくましく育てられるも、母の影響で女の子趣味に育つ。目下お受験準備中。

しずかちゃん

shizukaロドリゲス憧れの女性。長い黒髪と潤んだ瞳が印象的。出演映画のヒットでトップ女優に躍り出る。

潤子ちゃん

junkoバーバラの縁故でラブカロリー社に入社。元上司シェフチェンコに一途な思いを寄せ、彼の子を妊娠。

シェフチェンコ

shevchenko元経営戦略室部長。ロドリゲスの退任後、跡を継ぎ社長に就任。ロドリゲスの闇の姿を知る数少ない人物。

登場人物相関図はこちら


前回までのあらすじ

ライバル会社スリムボーン社の告発で、ラブカロリー社に独占禁止法違反の疑いがかけられた。本社に司法省の立ち入り調査が入り、ロドリゲス社長以下重役たちが次々と逮捕されるなか、あれよあれよという間に社長に就任してしまったシェフチェンコ。そしてついに、彼の社長就任記者会見がはじまった。

ざわざわざわざわ…色めき立つ報道陣

The sound of talking… there is uproar among the press.

シェフチェンコ:

おほん…本日、ラブカロリー株式会社代表取締役社長に就任

いたしました、わたくし、シェフチェンコと申します。

このたびは、日ごろよりラブカロリー商品を愛用いただいて

おりますお客様をはじめ、株主や市場関係者のみなさまに多

大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

今後は新たな経営体制のもと、みなさまの期待に応えられる

よう、業務に邁進していく所存でございます。

なにとぞよろしくお願い申しあげます。

Shevchenko:

Ahem…..My name is Shevchenko,

and I’m appointed CEO of Love Calorie as of today.

We apologize for causing so much inconvenience

not only to the customers who use our product regularly,

but also to the stockholders and marketers.

From now on, under the new business administration,

we will push forward with our duties

in order to respond to your expectations.

Thank you very much.

新社長からのあいさつが終わり、記者会見は質疑応答へと進む

The announcement by the new president is over.

The press conference moves on to the question and answer session.

記者A:

シェフチェンコ社長、あなたは社長就任以前はロドリゲス前

社長直属の部署・経営戦略室の部長をされていたとのことで

すが、そのころのロドリゲス社長についてお聞かせください

Reporter A:

Mr. Shevchenko, we understand that you were the manager of

the business strategy team,

working directly with the former president, Mr. Rodriguez.

Will you tell us about Mr. Rodriguez during that time?

シェフチェンコ:

おほん…ラブカロリー株式会社を一代で築き上げた辣腕経営

者…世の中が思うのと同じように、私も思っておりました。

そして、お慕い申し上げていました

Shevchenko:

Ahem…. A shrewd business manager who founded Love Calorie

in just one generation…..I regarded him how everyone did.

And I deeply respected him.

記者B:

となると、やはり、ロドリゲス氏が有罪となった場合でも、

保釈後はラブカロリー取締役として復帰されるのですね?

Reporter B:

Then, even if Mr.Rodriguez is found guilty,

he’ll come back to Love Calorie as a top executive

after being released on bail, is that right?

シェフチェンコ:

…いや、その可能性は…ありません

Shevchenko:

No, there’s no…..such possibility.

記者B:

んん?それは、彼が再びラブカロリー社のトップに返り咲く

ことはない、という意味にとってよいのでしょうか?

Reporter B:

What do you mean? Are you saying that he will never again

return to the top position in Love Calorie?

シェフチェンコ:

はい…彼を再び迎えるつもりはありません。

新生ラブカロリー株式会社には、今後、一歩たりとも足を踏

み入れさせません。

Shevchenko:

That’s right. We have no intention of having him back.

We won’t allow him to set one foot inside the newly-formed

Love Calorie.

シェフチェンコの表明にどよめく記者会見場

Press conference room resounds to Shevchenko’s announcement

サラ:

(目に涙をためてテレビに向かいながら)シェフチェンコに

してやられるなんて…!くやしい~くやしいわ!

脇が甘いのよ、ロドは(ズズズー鼻をかむ)。

Sarah:

(Looking at TV holding back her tears)

He was cleverly taken in by Shevchenko…..!

I can’t take it. Oh, I could just die!

You’re too careless, Rod. (blowing her nose)

inconvenience: 迷惑、不都合

regularly: 定期的に * use regularly(定期的に使う) ⇒ 愛用する

stockholder: 株主

marketer: 市場で売買する人、会社

administration: 体制

push forward: 邁進する、(困難にもめげず)突き進む

expectation: 期待

(例)wait in expectation: 期待して待つ

question and answer session: 質疑応答

former: 前の、元

※今日のトリビア

 例えば「旧ソ連」は the former Soviet Union と言います。

 類似表現に、ex-(接頭語)があり、意味は「かつての」。

 ex-wife(先妻)

shrewd: 鋭敏な

found: 設立する

generation: (家族の)代 * in one generation (一代で)

respect: 慕う、尊敬する

guilty: 有罪

on bail: 保釈中で

have no intention of: ~するつもりはない

(例)I have no intention of going to the party.

(パーティーに行くつもりはありません)

resound: (音、声が)とどろく

be taken in: だまされる、手に乗る

(例)I was taken in by the antique dealer!

(あの古美術商にだまされたわ!)

careless: うかつな、注意が足りない

次回予告

ロドリゲスが逮捕され、急遽、彼のたっての希望で社長に就任することとなったシェフチェンコ。ところが、恩を仇で返すように、記者会見でロドリゲスとの決別を表明する。拘置所の中でこの事実を知らされることとなるロドリゲス。次回、『拘置所の中のロドリゲス』。乞うご期待!!

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 ジュミック今井(翻訳)

都内で英会話スクールを運営するかたわら、メルマガ『英語がぺらぺらになりたい!』を発行、英単語やフレーズを絵として覚える「イメトレ暗記」が好評を博している。アルファベットと音のルールを1冊にまとめた『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ほか、語学書も多数執筆。