スペースシップ2初動力飛行成功

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元アメリカ陸軍中尉の加藤喬氏が世界各国に派遣される米兵に現地語を教える独自のカリキュラムを用いて英語を解説!
また、軍隊を切り口に様々な国の背景も紹介します

カリフォルニアからアリゾナに向かう途中に、モハービ (Mojave) という砂漠の街があります。

茶褐色の広大な土地が州道58号線の両側に広がり、地平線の乾ききった山々にはロケット燃焼実験装置が設けられています。

数百基の風力発電機 (windmill) が丘の斜面に聳える様はまるで砂漠に咲いた白い花。太古の風景と人類の英知のシンボルが共存する奇妙な空間です。

隣接するエドワーズ空軍基地 (Edwards Air Force Base) の上空では1947年、チャック・イェーガーが人類初の超音速飛行 (the first supersonic flight) を成し遂げました。また、スペースシャトルがフロリダのケネディ宇宙空港に着陸できない場合の代替滑走路もこの基地にありました。

不毛な荒野の一角が最先端テクノロジー (cutting-edge technology) と繋がっています。

そして、モハービでもう一つの歴史が作られました。宇宙旅行ビジネスを目指す民間会社ヴァージン・ギャラクティック (Virgin Galactic) が、商業宇宙船スペースシップ2 (Spaceship Two) による初のロケット動力飛行に成功したのです。

今後は徐々に速度と高度を伸ばし、年末には宇宙への弾道飛行 (ballistic flight)に挑戦します。

成功すれば、次は宇宙旅行ビジネスの本番。今は1人当たりの料金が2千万円と高額ですが、それでもすでに世界中で500人以上が搭乗リストに名前を連ねているそうです。

この企業を立ち上げたのは英国人サー・リチャード・ブランソン(Sir Richard Branson)。

1960年代にレコードの通信販売で頭角を現し、その後も音楽関係会社の設立と売却を通じて財をなしました。80年代にヴァージン・アトランティック航空を起業して成功を収め、勢いに乗って、2004年、宇宙旅行をビジネスとして成功させるという野心的な目標を掲げたのです。
今回のビデオは、スペースシップ2の初動力飛行成功の当日にモハービ宇宙空港で撮影されたものです。

「ゆくゆくは、このビデオをいま見ている多くの子供たちが、宇宙に行けるようにしたい」

ブランソン氏の夢は膨らみます。子供でなくても、この壮大な夢に便乗させてもらいたいと願うのは僕だけではないでしょう。

今は高嶺の花でも、あと20年たてば現在の国際線ファーストクラスぐらいにはなるかもしれません。そう思うと、健康でいるための運動や食生活の努力もなんとか続きそうです。

【動画原文と訳】
カウンター01:06~
Our dream is to enable many kids who watch this program to be able to go to space.
(我々の夢は、今このビデオを見ている子供たちの多くが、宇宙に行けるようにすることです)

And I think we can make this dream a reality.
(僕はこの夢を実現させることができると思う)

【基本語彙】
☆Enable : 可能にする
☆Make dream a reality : 夢をかなえる
【英語一言アドバイス】
Make dream a reality は文字通り「夢を現実にする」です。自分の夢でも他人の夢でも、実現させたいときに使えます。

例えばこんな風になります。
“I want to write a book and someday will make this dream a reality”
(本を書きたいんですが、私はこの夢をいつか実現させます)

“I want you to make your dream of becoming an actress a reality”
(あなたの女優になるという夢を叶えてほしいですね)

 

無料メルマガ『もしも、の英会話入門[軍隊式英会話術]』より
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発行周期:週刊

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加藤 喬

米国防総省外国語学校日本語学部部長
1957年東京生まれ。79年に渡米アラスカ州立大学フェアバンクス校在学中、予備役士官訓練部隊を通じて少尉に任官。
湾岸戦争では整備中隊の中隊長代理として任務。