犬の人を癒す能力

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元アメリカ陸軍中尉の加藤喬氏が世界各国に派遣される米兵に現地語を教える独自のカリキュラムを用いて英語を解説!
また、軍隊を切り口に様々な国の背景も紹介します

子供のころ見た「名犬ラッシー」(“Lassie”) や「リン・ティン・ティン」(“Lin Tin Tin”) という、犬が主人公のハリウッド映画でアメリカ人の犬好きは知っていました。しかしこちらで実際に、犬が堂々と家の中で暮らしていたり、車を運転する主人の隣にちゃっかり収まっていたりするのを見て、「なぜここまで?」と不思議に思ったものです。内と外を玄関という仕切りできっぱり分ける日本人の潔癖性で「犬は家に上げないもの」と決める頭があったせいでしょう。ところが、パートナーの愛犬と一つ屋根の下で過ごすようになって、犬には人を癒す能力 (ability to heal people) があることに気づきました。

この「癒し」がアメリカ人の犬好きに拍車をかけているのかもしれないと思い始めました。前回取り上げた「レックス軍曹」のように、多くの軍用犬は爆弾や麻薬の探知犬(bomb and drug sniffing dogs)です。今回のティミーはそれとは違い、アフガニスタンでの戦闘や作戦遂行のストレス(combat and operational stresses)で精神を病んだ米兵の「癒し」が任務です。

もちろん、射撃場のパトロールやヘリコプター搭乗の体験もありますから、銃声や爆音で怯えたりパニックを起こしたりすることはありません。この2歳のラブラドール・レトリバー (Labrador Retriever) は見るからに忠義(loyal)で優しそうな犬です。実際、動転していたり怒りっぽかったりした負傷兵が、ティミーの姿を見るや笑顔を浮かべ、駆け寄って撫ぜまわすのだそうです。そう言えば20年以上前、イラクから数十キロの砂漠に駐屯していた時、古参の軍曹(seasoned sergeant)がどこからか妊娠した犬を見つけてきました。整備テントの隅で飼い始めると、どこからか聞きつけた若い兵隊たちが、我先に食事の残りをもってきたものです。ほどなく子犬 (puppies)が生まれましたが、いつの間にか1匹もいなくなりました。今思えば、故郷の犬を思い出した新兵たちが、こっそり連れて行ったものかもしれません。


※再生部分⇒カウンター00:33から

【動画中の会話】
People see him we will be walking down the street and all of a sudden they are smiling, come up and pat him. He gets excited and they get excited.
(対ティミーが歩いてくるのを見ると、みんな笑顔になってやってきて撫ぜるんです。ティミーも人も心がワクワクするんですよ)

We had a couple of people that have been kind of angry or upset when they have walked into the door and as soon as they see him, smiles on their face and patting and playing with him.
(ドアから入ってきたときは怒ったり取り乱したりしていた人もいましたが、ティミーを見るや笑顔になって、なぜたり一緒に遊んだりするんです)

Healthier and happier troops is the goal of the center and that is where Timmy comes in.
(より健康で幸福な兵員が、このセンターのゴールですが、ここにティミーが入ってくるわけです)

First stop, the Air Force Academy in Colorado Springs where they train elite group of canine to sniff out trouble.
(最初に行ったのはコロラドスプリングスの空軍士官学校です。ここで、厄介事を嗅ぎ出すエリート犬を訓練しているのです)

 

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加藤 喬

米国防総省外国語学校日本語学部部長
1957年東京生まれ。79年に渡米アラスカ州立大学フェアバンクス校在学中、予備役士官訓練部隊を通じて少尉に任官。
湾岸戦争では整備中隊の中隊長代理として任務。