彼氏?お父さん?(サムスン)

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彼氏?お父さん?(サムスン)

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【彼氏?お父さん?(サムスン)】

携帯のカメラのうつりが悪いと、とんでもない間違いをするかも・・・

■課題文■

(00″~)

Woman:

My phone has me all confused, (Q1)this is my boyfriend,

(Q2)kind of looks like my dad.

And…um…that’s my…my dad, (Q3)could also be (Q4)so creepy.

<<語句と表現>>

●語句の意味が複数ある場合は主にこのCMで該当する意味を記します。
●リスニング課題の部分に含まれる語句は省いています。

☆ creepy 「ゾッとする・薄気味悪い」
creepには動詞で「(虫や蛇が)這う」という意味がありますが
そこから生まれた形容詞。

カジュアル英語ではとてもよく使う言葉。
ストーカーみたいな薄気味悪い雰囲気の人や
薄気味悪い場所などを表すときに使います。
日本語の「キモい」のニュアンスに少し近いかも。

Tweetの実物からの例:
″Dear creepy guy following me down the stairs: The only
reason I held the door to let you go first, was to keep
you from stabbing me.″

「私をつけて階段を降りてくるクリーピーなあんた。
私があんたを先に行かせようとドアを押さえてあげた唯一の理由は、
あんたから刺されないようにするためだったのよ。」


◆解答と省エネ発音のポイント


●カジュアル度の高さは♪から♪♪♪で表わします。
♪:フォーマルな会話で使っても問題ない。
♪♪:カジュアルな会話向け。
♪♪♪:カジュアル度高し。

●できるだけ実際の音に近い音をアルファベットとカタカナで記しますが、これはあくまで参考です。

●曖昧母音(発音記号 が e の上下逆さまになったやつ)を @ で表記します。

●曖昧母音以外の母音が非常に弱い、曖昧な音になったものも、@で表記することがあります。

Q1♪ because, see, ⇒ cauzesee,

because は、頭の[b]を発音していません。
加えて、この2語を軽くつなげて発音しています。

because の語尾の[z]と see の語頭の[s]は、
有声音か無声音かの違いだけで、口の形はまったく同じだからです。

because はカジュアルなスペリングでも、
発音そのままに cause とか ’cause とスペルします。

Q2♪ but it… ⇒ budi’…

2語が連結(リエゾン)。
it の語尾の破裂音[t]は破裂せず聞こえません。

but の[t]はリエゾンして
前後を母音にはさまれたため「軽く弾くD」の音に変化。

アメリカ英語で最も多い省エネ発音のひとつです。
「ディ」と「リ」の中間のような音です。

「軽く弾くD」の音の音声つき説明はこちら

この but it が聞き取れないと
そのあとの kind of までの間にポーズがあるので
but it の部分だけ独立した文かと勘違いしてしまうかも。

Q3♪ but it, it ⇒ budi’, it

これも but it の部分はQ2と同じです。
でも it を不必要に繰り返しています。
ま、この繰り返しの it に気づかなくても
どうってことはないんですが(笑)。

今日のメルマガでぜひお伝えしたいことに
関連してるので取り上げました。

Q4 my boyfriend. That’s…  ⇒ my boyfriend. That’s
省エネ発音は特になし。

my boyfriend. でワンセンテンスが終わったあと
間髪を入れずに That’s と次のセンテンスを始めてから
一瞬ポーズを入れてます。

これを課題としたのには
次のことをしっかりと頭にとどめておいて頂きたいからです。

文字で見たときの文の切れ目が
会話の言葉の切れ目だとは限らない。

あなたが英文を目で追って読むときは、
当然、ピリオドで区切りながら読むと思います。

また、英語教材を音読練習するときなどは
ピリオドで文を切ったり息をついだりすると思います。

でも現実世界では必ずしもピリオドが言葉の切れ目とは限りません。

蛇足かも知れませんが
彼女のこの文の切り方について一応解説しときます。

この人の場合、
「ボーイフレンドとお父さんの区別がつかなくなる携帯のカメラって
もうなんだか●●●でさ」という自分の気持ち(●●●)のことを
早く伝えたかったのだと思います。

なので、my boyfriend.のあと即、That’s と言い始めた。

でも、●●●の部分の言葉を
どういうニュアンスの言葉にしようか、と一瞬考えたので
so creepy の前にポーズが入っているわけです。

■ 今回のCMは、サムスンがシリーズとして作っているもので
素人(らしき人)が出演しているものです。

ですから、
現実の会話での話し方の以下のような特長がよく出ています。

ワンセンテンス内でポーズが入る(Q2 but it…)。
不必要な繰り返しをする(Q3 but it, it)・
文字で見たときの文の切れ目と話されるときの切れ目が違う(Q4)。

ネイティブが実生活でカジュアルな会話をするときは、
英語の教材のように整然と話すとは限りません。

というか、いつも整然と話せる人ってのいうは
そういった話し方のセンスを磨いた人です。

私たちが日本語で話すときも同じですね。

口に出す文の最初の一語から最後の「。」までを
あたかもあらかじめ原稿に書いといたものを読み上げるように
よどみなく整然と話せる人って
時々いるじゃないですか。

大半の英語教材の口調っていうのは、
言ってみれば、そういう口調なわけです。

◆全文と訳文(意訳)◆

<全文>

(00″~)

My phone has me all confused, (Q1 because see)…this is my

boyfriend, (Q2 but it…)kind of looks like my dad.

And…um…that’s my…my dad,(Q3 but it,it)could also
be (Q4 my boyfriend. That’s)…so creepy.

<訳文(意訳)>

あたしの電話には、もうすっかり混乱させられちゃうの。

だって、ほら、これはあたしの彼氏なんだけど…

あたしのお父さんにも見えちゃったりするわけ。

でえ…えーっと…こっちは、あたしの、お父さん。

でも、あたしの彼氏に見えないこともないのよ。超キモいわよ。

matsuo
松尾 光治
大手英会話学校のニューヨーク校駐在員として1989年に渡米。その後、カリフォルニア、シリコンバレーのハイテク企業で9年ほど勤めたのち独立、現在はニューヨークで通訳・翻訳業。
日本人が苦手とするカジュアル英会話を翻訳家の松尾光治氏が伝授!
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