息子との別れ(Toyota)

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息子との別れ(Toyota)

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【息子との別れ(Toyota)】

荷物を車に積み込み、家を巣立っていく息子を見守る両親。
でも、お母さんの悲しみの理由は・・・

■課題文■

カッコ内の部分を聴きとって書き出してみましょう。

(01″~)

Mother: (Q1) that new Corolla.

Father: I never (Q2).

Narration: You’ll love it, too.
The new 2014 Toyota. Toyota. Let’s go places.

Father: Be strong.

<<語句と表現>>

●語句の意味が複数ある場合は主にこのCMで該当する意味を記します。
●リスニング課題の部分に含まれる語句は省いています。

☆ Let’s go places.
「いろんなところ、行きましょう。」
米国トヨタのコマーシャルのスローガン。

go places はカジュアルな表現で
「あちこちに行く・旅行する」。
加えて「出世する・成功する」という意味もあるので
両方をかけているとも言えます。

[例]
The first time we heard him play the saxophone, we knew he would go places.
彼がサックスの演奏を初めて聴いた時、僕らは彼が成功するだろうと分かった。

この「出世する・成功する」の意味のときは、普通過去形では使いません。

◆解答と省エネ発音のポイント

●カジュアル度の高さは♪から♪♪♪で表わします。
♪:フォーマルな会話で使っても問題ない。
♪♪:カジュアルな会話向け。
♪♪♪:カジュアル度高し。

●できるだけ実際の音に近い音をアルファベットとカタカナで記しますが、これはあくまで参考です。

●曖昧母音(発音記号 が e の上下逆さまになったやつ)を @ で表記します。

●曖昧母音以外の母音が非常に弱い、曖昧な音になったものも、@で表記することがあります。

Q1♪♪♪ I’m going to miss ⇒ @m gonna miss

非常に省エネ度の強い I’m going to です。
going to の部分は、まあそこそこの強さの省エネですが
I’m が、ほとんど口の中だけで発音しています。

何度も聞き返せば聴こえるような気もするし
聴こえないような気もする。

そういった音です。

で、この I”m の部分は聴こえても聴こえなくても構いません。

Gonna以降が聞き取れればセリフの意味は分かるので。

この事情はネイティブにとっても同じです。

ためしにネイティブ何人かにこのコマーシャルを見せたのですが
Gonnaから始まっているという人と
I’m から始まっているという人と、に分かれました。

もっとも I’m から始まっているという人の一人は
最初は、きちんと聴いていたわけではなく
「I’m があるはずだ」という推定のもとに
そう主張していただけでした。

「まじめに聴け」と頼んで聴かせたあげく
「やはり I’m と言っている」との意見に落ち着きました。

私自身も最初不確かだったので
この部分を録音して速度を落として聴くと
今度は、かすかな音ながら確かに
I’m といっているのが聴こえました。

何が言いたいがというと、
「ネイティブだから何でも聴ける」というものではないということです。

だから、こういう音そのものをあなたが聴き取れないからといって
がっくりする必要はまったく無いのです。

もちろん、ネイティブの耳のほうが
英語の音そのものをキャッチする能力が
私たちより高いのは当然です。
生まれ育ったときから英語を聴いてきているのですから。

でも、英語というのは全般的に言えば
日本語よりもはるかに聴き取りにくい音が多い。

そして、文脈による推測力や予測力を無意識に駆使して
意味をとっていることが日本語よりも、はるかに多いのです。

(聴き取りにくいのは「機能語」の部分が多いです。
省エネ発音も機能語でおきやすい。
だから、私たちがリスニング力を伸ばすには省エネ発音の理解に加えて
英語のすばやい読解力が重要になります。
そのトピックはこちらを→ http://www.namaeigo.com/topics/tadoku.html

「え?自分の国語なのに聴き取れないの?」
と思う人もいるかも知れません。

でも事実、そうなんです。

言語ごとに音の体系が違うのだから、
その言語を話す人とその言語との関係も微妙に違う。

それを、世界の言語の中でも聞き取りやすい部類に属する
日本語と日本人の関係と同じだろう、と決めてかかるのは、
いわば「文化の違い」というものを理解していない、
と言えなくもないですね。

逆に、日本語を勉強したことがないアメリカ人に
「英語って聴き取りにくいんでしょ。推測しながら聴かなければならないんでしょ。」
といってもなんのことやら分かりません。

その人は英語の中にどっぷり使っているので、
日本人と日本語の関係に対する洞察力がないから。

いやあ〜、えらく脱線しちゃいましたね・・・

とにもかくにも、「こんな音が聴けないといけないんだ。
ナマの英語って難しすぎ〜」とか思わないでくださいね。

ちなみに、出だしの I’m を省いて、
いきなり 「Gonna + 動詞原型」で話すことっていうのは、
なくはありませんがあまりやりません。

このセリフに当てはめれば
“Gonna miss that new Corolla” と言わないこともないが、
どちらかと言えば、しょっちゅうではないということです。

Q2 thought it was going to be this hard ⇒ thoughtitwas gonna be this hard

[語意] this hard この this は「これほど・こんなに」といった意味。

☆♪♪ thought it was going to be ⇒ thoughtitwas gonna be

特に強い省エネはないのですが、早口にペラッと発話されるので
聞き取りにくいかもしれません。

thought it was の部分が、ひとかたまりになっているのがクセモノです。
thought と it が連結し、itが圧縮されたような音になってます。

この thought it was という組み合わせは
よく使われるんで、メチャ早口でも分かってもらえます。

[例]
You never thought it was gonna be this good, did you?

I thought it was gonna be easy, but it wasn’t.

◆全文と訳文(意訳)◆

<全文>

(01″~)

Mother: (Q1 I’m going to miss) that new Corolla.

Father: I never (Q2 thought it was going to be this hard).

Narration: You’ll love it, too.
The new 2014 Toyota. Toyota. Let’s go places.

Father: Be strong.

<訳文(意訳)>

(01″~)

Mother: あの新しいカローラがなくなると寂しいわ。

Father: こんなに辛いとは思いもよらなかったな。

Narration: あなたも大好きになりますよ。
2014年のトヨタの新車。トヨタです。いろんなところ、行きましょう。

Father: 気持ちを強く持つんだ。

matsuo
松尾 光治
大手英会話学校のニューヨーク校駐在員として1989年に渡米。その後、カリフォルニア、シリコンバレーのハイテク企業で9年ほど勤めたのち独立、現在はニューヨークで通訳・翻訳業。
日本人が苦手とするカジュアル英会話を翻訳家の松尾光治氏が伝授!
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