映画『レナードの朝』からの出題
ヒューマン・ドラマ1990年/アメリカペニー・マーシャル(Penny Marshall)ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)、ロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)、ジョン・ハード(John Heard)、ペネロープ・アン・ミラー(Penelope Ann Miller) ほか
精神神経科の慢性病棟に勤務することになったセイヤー医師は、難病をわずらって動くことができない患者たちに出会う。セイヤーは、その中のひとりレナードに、新薬を投与したところ、30年ぶりに半昏睡状態から奇跡的に目覚めた。レナードの母や病院スタッフたちは喜び、同じ治療法で他の患者たちも次々と覚醒していくのだが…。アカデミー賞3部門ノミネート
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Awakenings
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人や事物をあらわす単語に「-s」がつくと、
1つじゃなくて2つ以上あることを示します。「kings」⇒「王様たち」
「rings」⇒「2つ以上の指輪」これらには「-ing」が入っていますが、
いわゆる「-ing形」と呼ばれるものではありません。これに対し、「Awakenings」の中の「-ing」は、
「awaken(目を覚ます)」という動作を示す単語に、
次の2つの意味を与えています。(1)「awaken」+「-ing(動作が進行しているイメージ)」
=「awakening」⇒「目を覚ましつつある」(⇒形容詞)(2)「awaken」+「-ing(動作を事柄としてとらえる)」
=「awakening」⇒「目を覚ますこと、目覚め」(⇒名詞)文脈によって、(1)か(2)のいずれかなのですが、
ここでは、「-s」がくっついていることから、
(2)「目覚め(名詞)」の方だと判断します。上で説明したように、「-s」は「2つ以上」を示します。
医療ノンフィクションである同タイトル原作は、
20名の患者が覚醒した記録なので、
『Awakenings』=「20人の目覚め」ということ。一方、レナードを中心にすえたフィクションである映画化作品では、
「-s」付きの「目覚め」が、レナード以外の患者たちや、セイヤー医師、
そして映画を見ているアナタにまで訪れることを暗示しているようです。かといって、「レナードたちの目覚め」と露骨に訳すことなく、
「目覚め」を「朝」ととらえた邦題『レナードの朝』は、実にステキな意訳。レナードにふりそそぐ朝日が、周囲にも光を与えていく様子をイメージさせ、
さりげない「-s」のはたらきが、うまく日本語で表現されていると思います。
- 「-ings」を日常でつかってみよう!
- 友人がスゴイDVDを貸してくれるそうです。
A:Are you saying this DVD contains five alternate endings?
B:Yes, they’re worth watching. You’ll get mixed feelings, though.A:このDVDに、5つの異なるエンディングが収録されてるって?
B:うん、見る価値あるよ。複雑な気持ちになるだろうけど。
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ふくみっつぁんのプロフィール
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!
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