映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』からの出題

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部屋はルームじゃないの!?

映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』からの出題

j_jyanruファンタジー/アドベンチャー/ファミリーj_seisaku2002年/アメリカj_kantokuクリス・コロンバス(Chris Columbus)j_syutsuenダニエル・ラドクリフ(Daniel Radcliffe)、ルパート・グリント(Rupert Grint)、エマ・ワトソン(Emma Watson)、リチャード・ハリス(Richard Harris)、マギー・スミス(Maggie Smith)、アラン・リックマン(Alan Rickman) ほか
j_arasujiハリー・ポッターは、ホグワーツ魔法魔術学校での1年を終え、唯一の身寄りであるダーズリー家のもとで夏休みを過ごしていた。ある日、屋敷しもべ妖精のドビーから受けた警告を無視して、ハリーはロンと共にホグワーツへ戻り、2年生に進級する。やがて、生徒たちが石にされるという怪事件が次々と起こり、ついには、親友のハーマイオニーまでもが石に…。
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それではさっそく『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 の英語タイトルを見てみましょう。

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な、なにーーー!? Harry Potter and the ******* of Secrets だとーーーー!!?
「秘密の部屋」は「シークレット・ルーム」じゃないの?「*******」が「部屋」ってことなの?う~ん…。

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~オブリビエイト! ハリポタ呪文を 唱えても ~答えが浮かばぬ 兄ちゃんかな…

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あ、タイトル英語イストの福光つぁん! “オブリビエイト”は忘却魔法だからマズイっすよ!って、こんなどうでもいい単語は知っているというのに、「*******」なんて英語は聞いたこともないんです…。
お~、ツタ哉くんかいな!どうもで、まいどで、こんにちは!「ルーム」っちゅうたら、なんかふつぅ~の部屋やん。 「*******」は、魔法学校らしい厳かな雰囲気を醸す部屋やで!

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Harry Potter and the Chamber of Secrets

[Harry Potter]


ハリー・ポッター
[and]

[the Chamber of]

~の部屋
[Secrets]

秘密

と、長いタイトルのわりには、難しい文法はありません。
でも、「部屋」が、「room」という簡単な単語のかわりに、「chamber」という見慣れない単語になっていますね。

「room(ルーム)」と「chamber(チェインバー)」には、
いったい、どんな違いがあるのでしょうか?

単語 語源の系統 イメージ
room ゲルマン語系 柔らかい、簡単、話し言葉、口語調
chamber ラテン語系 硬い、難しい、書き言葉、文語調

ゲルマン語系は、英語の直系であり、日本語でいう「やまと言葉」に相当。

一方、ラテン語系は、フランス語・スペイン語・イタリア語などの直系で、英語から見れば輸入語・借用語にあたり、日本語の「漢語」に相当します。

たとえば、医者に「頭が痛むんですよ」と、やまと言葉で症状を訴えても、カルテには「頭が痛む」とは書かず、漢語の「頭痛」が使われるでしょう。

同じ書き言葉でも、患者にやさしく伝えるためのお薬説明書では、「頭痛時に服用する錠剤」という硬い漢語より、「頭が痛むときに飲むお薬」という柔らかいやまと言葉が優先されます。

このような「やまと言葉」と「漢語」との漠然とした使い分け基準が、
英語の世界でも、「ゲルマン語系」か「ラテン語系」かの選択に通用します。

築年数の古そうなホグワーツ魔法学校に伝わる「秘密の部屋」伝説。
ラテン語系の「chamber」が、神秘的な雰囲気を醸しだすのにピッタリです!

香港映画『少林寺三十六房』(1977年)のタイトルも、
中国語の「fang」が「房」という音読み漢語に直訳され、
英題『The 36th Chamber of Shaolin』においても、
やはりラテン語系「chamber」が使われています。

辞書を引いたときに、語源まで見ない人は多いと思いますが、
ゲルマン語系かラテン語系かの区別だけでもチェックしておくと、
英語感覚がリッチになると思いますよ。

「chamber」を日常でつかってみよう!
この音楽ジャンルもお堅いイメージでしょうか?

A:You wrote “the SO/MCO’s live concert” in your blog post.
  but is it a new indie band or something?
B:No, it’s Mito Chamber Orchestra conducted by Seiji Ozawa.
  The first violinist was reeeeally cool!

A:ブログ記事に“SO/MCOのライブ・コンサート”って書いてたけど、
  それって、新しいインディーズ・バンドか何かなの?
B:いや、小澤征爾指揮、水戸室内管弦楽団だよ。
  第1バイオリニストが、むっちゃくちゃカッコよかったぜ!

ふくみっつぁんのプロフィール

本名・福光潤(ふくみつじゅん)。
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!

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