映画『プルートで朝食を』からの出題

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場所をあらわす前置詞は「at」だけじゃありません

映画『プルートで朝食を』からの出題

j_jyanruドラマ/コメディj_seisaku2005年/アイルランド、イギリスj_kantokuニール・ジョーダン(Neil Jordan)j_syutsuenキリアン・マーフィ(Cillian Murphy)、リーアム・ニーソン(Liam Neeson)、ローレンス・キンラン(Laurence Kinlan) ほか
j_arasujiアイルランドの小さな町で、教会の前に捨てられた赤ん坊パトリック。生みの親は姿をくらまし、近所の一家が彼をひきとる。パトリックは、幼いころから化粧やドレスに興味を見せ、まわりから変わり者あつかいされる。美しい青年に成長した彼は、自ら「キトゥン」と名乗り、カミングアウト。やがて、居場所のない田舎町を飛びだし、実の母親を尋ねてロンドンへと向かうのだが…。
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それではさっそく『プルートで朝食を』の英語タイトルを見てみましょう。

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な、なにーーー!? Breakfast ** Pluto だとーーーー!!?
冥王星は惑星じゃなくなったってニュースで言ってたけど、プルートは「冥王星」って意味なんだ…。へ~。んん?「プルートで」の「で」は「at」じゃないんだ!?

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おや、兄ちゃん、のど詰まらせて苦しんでるんか?なに?クラリネッ…いや、フルートで朝食を食べたって…?そら詰まりそうな食べ方やな~!

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あ、タイトル英語イストの福光つぁん!僕は『プルートで朝食を』って言ったんですよ~!そんなことより「プルートで」の「で」は「at」じゃないんですか? 『ティファニーで朝食を』では「at」なのに…。
お~、ツタ哉くんかいな!どうもで、まいどで、こんにちは!ティンパニーで朝食とは、これまた飲みこみにくそうやな。でも、まかしとき!アットからインくらでもオンもいだせる解説やで!

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Breakfast on Pluto

原作が書かれたのは、まだ冥王星が惑星と見なされていたころ。太陽系のいちばん外側をまわる「Pluto(冥王星)」に、主人公の疎外感をなぞらえたタイトルだと思います。

では、なぜ「で」が「on」なのか?
「on」=「~の上で」と習ったと思いますが、「on」の基本イメージは「~にくっついて」です。

われわれは地球という惑星で暮らしています。

We live on Earth.

足が地面(=地球)にくっついているから「on」。ビルや飛行機の中にいても、地球の重力に引っ張られているので、宇宙スケールで考えると、地球にくっついているといえます。これはPluto(冥王星)でも同じです。

ここで、3つの前置詞のイメージをまとめておきましょう。

at ~の点で
in ~の中で
on ~にくっついて

場所をあらわす前置詞は、ふつう「at」ですね。

レストランで彼を待った。
= I waited for him at the restaurant.

この「at」は、地図上のある地点をイメージすればよいでしょう。
近所の牛丼屋でもなく、駅前のカフェでもなく、国道沿いのファミレスで、という感じ。

もし、建物の外じゃなくて中だと言いたいなら、「in」または「inside」をつかいます。

雨がやむまで、レストラン(の中)で待った。
= I waited in/inside the restaurant till the rain stopped.

もし、建物にくっついているのであれば、「on」の出番です。

スパイダーマンは、レストラン(の壁にくっついた状態)で敵を待った。
= Spider-Man waited for his enemy on (the wall of) the restaurant.

「on」を日常でつかってみよう!
気になりますね、仕留めそこねた虫って。

A:Hey, where’d that bug go?
  I thought it was on the ceiling.
B:Now it’s on your chin…(SMACK!)

A:ねぇ、あの虫、どこいったの?
  天井にいたと思ったのに。
B:今、君のアゴにくっついてるよ…(ピシャッ!)

ふくみっつぁんのプロフィール

本名・福光潤(ふくみつじゅん)。
1971年、兵庫県生まれ。特許翻訳者。 英語講師、日本語学校の海外営業、霞ヶ関の特許翻訳専門会社勤務を経て、現職。 メルマガ『日刊タイトル英語』を発行、 ホームページ『タイトル英語』を運営。 英語のおもしろさを読者と分かちあう。英検1級。TOEIC955点。 たまにシンガーソングライター&イラストレーター。
著書『翻訳者はウソをつく!』(青春出版社)好評発売中!

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