今週の TED ビデオ: Nina Tandon「iPS新薬開発」

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今週の TED ビデオ: Nina Tandon「iPS新薬開発」

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Could tissue engineering mean personalized medicine?

今回紹介するのは、山中教授が発明した iPS 細胞を活用した新薬の開発の話です。山中教授がノーベル賞を受賞して以来、日本でも彼の研究に関する解説番組が放送され、私もそのうちいくつかを見ましたが、テレビ局が作った番組というのはどうしても表面的なものになってしまい、いまいちしっくりと来ませんでした。

それと比べると、実際に iPS 細胞を日々の研究に活用している Nina Tandon のプレゼンを聞くと、iPS 細胞が医学の発展のためにどのくらい貴重な発見なのかが良く分かります。

私も、当初は誤解していましたが、iPS 細胞が最も役に立つのは自分の細胞から作った臓器移植ではなく、新薬の開発の場面なのです。新薬の開発には、効果の測定と副作用の調査のための莫大なお金がかかるだけでなく、被験者の健康をリスクにさらすことになります。それに加え、認可が下りた後で致命的な副作用が発見されるケースもしばしばあり、医薬会社は開発コストの高騰とより一層の安全性との間に板挟みになっているのが現状です。

iPS 細胞で作った人工臓器は、試験管の中で薬の効用や副作用の測定をすることを可能にするだけでなく、それぞれの人の体質にあった薬を見つけ出すことすら可能にします。

iPS 細胞の発見のおかげで、新薬の開発コストが大幅に下がり、認可までのプロセスが短縮されることは十分に期待できます。また、癌や白血病の薬物療法のように副作用が激しいものに関しても、前もって DNA 検査をするだけで、その人にとって最も副作用の少ない薬の配合を見つけ出したりすることも可能になるでしょう。

中島聡中島聡
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。 NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。
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