韓国の嫌日政策の本音

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韓国の嫌日政策の本音

Park offers North Korea massive aid

朴大統領は北朝鮮に大幅な援助を提案
(Korea Times より)

【ニュース解説】
日本の安倍首相が韓国のパク・クネ大統領に韓国語で挨拶をしても、彼女は極めて冷たく対応したというニュースは、韓国でも大きく報道されています。
「今回は、日本との関係改善はなかなかできないのでは。いつもと違って、お互いに相当深いわだかまりが積もっています」
ハンウルという政治問題などの出版を手がけているソウルの中堅出版社の顧問で元外交官のパク氏は、渋い表情のままそう語ります。
「日本は自らの行動で、韓国を中国にくっつけてしまったのです」
日韓の連携の重要さを説いてきた、同社のキム社長はそれを受けて、ため息とともに、そう付け加えました。

出張で上海を発ちソウルへ向かう日、上海の英字紙は朝鮮戦争の折に韓国に遺棄された中国兵の遺骨の返還式の模様を大きく取り上げ、中韓の最近の絆の強さを強調していました。ソウルの空港に着き、韓国側の新聞をみると、同じ記事が韓国の英字紙 Korea Times の一面にこれまた大きく掲載。その横に、今回紹介するヘッドラインをもとに、ドレスデンで講演するパク大統領の様子が紹介されていたのです。

中国と韓国を訪ねれば、いかに日本が孤立してしまったかを、肌で感じ、時には将来への恐怖すら覚えている人は多くいるはずです。韓国と中国とをここまで遠ざけてしまった事実は、理由の如何を問わず日本の外交ミスに他なりません。

そして、こうした極東のこじれた関係の上に、北朝鮮の状況を重ねてみたとき、そこにアメリカをも含む外交の複雑なパズルが存在することを知っておくべきです。
During a speech at Dresden University of Technology, Park attempted once again to persuade Pyongyang to become a responsible member of the global community. (ドレスデン工科大学での講演で、パク大統領はピョンヤンにグローバルコミュニティのメンバーとして責任ある行動をとるよう改めて説得した)
という解説と共に、同大統領が韓国として北朝鮮に大規模な経済協力の用意があると表明したのです。

前回まで何度かにわたって、ウクライナ問題を軸に、アメリカの求心力の低下について解説してきました。
実は、パク大統領の野心にとって、対日強行姿勢は一つの現象に過ぎません。彼女の思いは、南北統一の道筋を自らの手でつけ、できればそれを実現したいというところにあるのです。
そして、日本まで加わった六カ国協議の枠組みの中で、アメリカの対中、対ロ、対北朝鮮路線を意識した日米韓を軸とした連携体制から敢えて距離をおき、韓国が自らの力で自らの領土を回復できるよう、パク大統領は模索しているのです。
中国よりの姿勢をとり、北朝鮮に影響力を持つ中国と連携した南北統一という近道への舵を大きくきるにあたって、アメリカと韓国とのしがらみを、靖国問題などにこだわる日本を利用して巧みに回避したいという狙いが隠れていることを知っておきましょう。
このように、アメリカだけに頼れない韓国の背中を日本が押して、中国へとにじり寄らせたことが、北朝鮮問題をみるときに、鮮明にあぶり出されてくるわけです。
そして、韓国の国民はパク大統領の内政には疑問をもちながらも、外交政策には支持を表明する人がおおく、全体の支持率も50%以上となっています。

パク大統領がドレスデンで講演をした数日前、中国の習近平主席が旧日本軍による南京虐殺を取り上げ、反省し戦後処理を徹底しない日本政府を強く批判したことは、周知の事実です。
主席があえて行った、ドイツという第三国でのこうした演説は、アメリカと中国との間にあって、むしろうまく中国とくっつきながら南北統一を模索する韓国へのラブコールだったのです。
そして、アメリカからみるならば、極東の関係国の綱引きをするにあたり、中国に向けて韓国側の背中を敢えて押してしまった日本に対するいらだちは語り尽くせないものであるはずです。

この新聞を手にした2日後に、北朝鮮は軍事演習を通し、韓国の領海にミサイル発射し、韓国軍もそれに応酬するという事件がおきています。
北朝鮮は北朝鮮で、自らの頭越しで行われる中国と韓国との蜜月状態を不快に思っているのかもしれません。

極東の外交も、アメリカという超大国の退潮を微妙に察知し、粛々と新しい秩序を模索し始めているのです。

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Yoji Yamakuse
山久瀬 洋二
1955年大分県生れ
大手出版社のニューヨーク駐在員を経て現地で起業。同地と東京を中心に100社近くに及ぶグローバル企業にて、国際環境での人事管理、人材開発などのコンサルティング活動を展開し、4000人以上のエグゼクティブへのコーチングを実施。著書は「日本人が誤解される100の言動」「言い返さない日本人」など多数。

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