知ってる?広大なアメリカ国土の地域差!

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知ってる?広大なアメリカ国土の地域差!

By: Kevin Hutchinson

第89回:広大なアメリカの地域の多様性

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(1)国土の広いアメリカ

すでに知ってる、分かりきった話ほどつまらないものはない。

だから、うちのブログやメルマガでは、多くの皆さんが気づいてないことや、目に見えて分かりにくいことを、意識的に取り上げるようにしている。

この多様性のコーナーなんてまさにそうだ。

そんなわけで、文化や価値観やライフスタイルに関する話題が多くなる。

でも、日本とアメリカの違いを語るうえで、ゼッタイに見過ごせないのが国土の広さの違いだ。

当たり前だ。

当たり前過ぎて、これまでほとんど触れてこなかったが、日米間では、どえらい違いがある。

一口に「アメリカ」と言っても、

◆東部東海岸エリアニューヨーク、ボストン、ワシントンDCなど。最も古くから開拓された地域。ヨーロッパとのつながりも深く、欧米先進諸国にとってアメリカの正面玄関。多様な文化や歴史や伝統を尊重し、重んじる価値観がもっとも根強い。

◆中部エリアシカゴ、ダラス(テキサス州)など。外部からあまり人が入ってこないため、保守的。アメリカなのに社会の多様性に乏しい。

◆西部西海岸エリアロサンゼルス(以下、ロス)、サンフランシスコ、シアトルなど。フロンティアの果ての広大な土地を有し、開放的で自由な気質が特徴だが、あまりに広すぎて、みんなで協力しあって社会や文化を発展させようという意識が他のエリアよりもやや乏しい印象。

・・・のようにザックリ分けても3つの大きなエリアがあって、各エリア間には1時間の時差まであったりするのである。

例えば、ニューヨークの朝9時は、シカゴでは朝8時、ロスでは朝7時という感じ。

同じ国内に時差がある、という感覚は、日本国内の方にはあまりイメージできないだろう。

おまけに、アメリカは州(State)ごとにまったく異なる法律が平気で存在する合衆国(United States)になってるので、地域によって、社会の仕組みの細かい部分にも、実はかなり大きな違いが存在する。

まぁ、そういう細かい違いは、もともと社会の仕組みの違う、遠い日本から来た日本人にとって、さほど気になるものではないが、何も知らずに、

「アメリカ国内なんだから同じだろう」

と勝手に思い込んでると痛い目にあってしまうこともある。

特に近年は、特にロスやサンフランシスコのあるカリフォルニア州が、一昔前と比べるとものすごい勢いで没落しつつあるというか、近年、迷走を続けているのだが、その状況が日本国内にほとんど伝わってないので、ちょっとヤバイかもしれない。

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(2)迷走するカリフォルニア州

日本からは、太平洋を挟んだ対岸に位置するため、昔から、米国西海岸には、なんとなく身近で良いイメージがあると思うが、それは、米国内における西海岸のイメージとは大分違いがある。

2000〜2001年には、もう21世紀だってのに電力会社が十分な電力を供給できなくなり、停電が頻発。

昔から続く、国境を接するメキシコほか南米諸国からの移民の流入の問題も根深く、しかも、ニューヨークのようにみんなで協力しあって・・・という雰囲気にならない。

とにかく、あまりに土地が広すぎ、おまけに全米で最も人口が多い州でもあるカリフォルニア州は、今や「統治不能」になっているとの声が高まっている。

おそらく日本国内では、まったくぜんぜん報じられていないと思うが、今年2014年2月には、ついに、カリフォルニア州を6分割するという請願(Six Californias)が、活動家らから当局に提出された。

現在、署名運動が勧められていて、7月14日までに、州内登録有権者80万7615人が署名すると、11月の州投票にかけられるという。

うちのブログでも取り上げようかなと思ったが、あまりにショッキングなニュースなので、しばらく様子を見ている状況だ。

【ご参考】●カリフォルニア州を6分割へ、活動家らが当局に請願http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYEA1K00920140221

州を分割しようという衝撃的な話がいきなり突然出てくるわけもなく、この一例を見ても、近年、どれだけカリフォルニア州が迷走を続けているかがお分かり頂けるだろう。

カリフォルニア州の没落ぶりは、米国内では様々な分野で感じられる。

「カリフォルニア州6分割」請願が出されたのと同じく今年2月には、ロス(いわゆるハリウッド)で番組の収録&制作が40年以上!!!も続けられてきたNBCの深夜の人気トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」(The Tonight Show)が、今後、ニューヨーク制作になると発表されて大ニュースになった。

アメリカにお住まいになられたことがある方なら、たぶん、誰でも知ってるあの「ザ・トゥナイト・ショー」だ。

日本でも、今年3月末に30年以上続いたお昼の超長寿番組の「笑っていいとも!」が終了になり、大きな注目を集めたが、1954年から続く「ザ・トゥナイト・ショー」のニューヨークへのお引越しは、それ以上のインパクトがある。

表向きには、司会がニューヨーク在住の人気コメディアンのジミー・ファロンに変わるから・・・としているが、それでだけで40年以上も続いたロスでの番組制作を止めるわけがない。

要するに、ロスからじゃ、視聴者のイメージが悪くなってしまった(ダサい、遅れているなどと思われる)からと言っていいだろう。

【ご参考】●成功の秘訣はkeep loving people、「ザ・トゥナイト・ショー」がニューヨークに帰ってきた!!!http://nyliberty.exblog.jp/22105363/

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(3)米国トヨタ本社もトーランスを去る

上述のような状況に加え、今年4月後半からさらに衝撃的なニュースが飛び出した。

ロス近郊のトーランス(Torrance)に長らく本社を置いていた米国トヨタが、テキサス州ダラス郊外のプレイノへ本社機能を移転させると発表したのだ。

人口15万人弱のトーランスにとって、トヨタとホンダはそれぞれ従業員4000名を抱える2大雇用主だ。

トヨタが出て行けば、市は年間約120万ドルの税収を失う。

しかし、それ以上に住民の感情的なショックやトヨタ本社があることで生じる経済波及効果を失う打撃は大きいだろう。

トーランス市長のフランク・スコット氏の娘の夫もトヨタで働いていて、本社移転とともに娘や孫もテキサスへ引越しする可能性があるらしい。

また、トーランスにはトヨタ本社があるという理由から、他の日系企業も、多数、拠点を構えていたりする。

そのため、日本国内の方々の間でも、トーランスという地名になんとなく馴染みがあったり、どこかで聞いたことがあるという方も多いだろう。

とにかく、現時点の報道では、トヨタが本社を移転する影響で、カリフォルニアは3000人の雇用を失い、テキサスでは4000人の雇用が増える見通し、とのこと。

しかも、移転の時期は結構早くて、トーランス勤務の幹部は今年7月にプレイノの仮設事務所に移りはじめ、2016〜2017年の新社屋完成後に、大部分の人員が移動する予定。

こんな短期間のうちにトーランス(またはカリフォルニア)が、失う分の雇用を創出できる見込みはない。

また、実は、日系の自動車メーカーが本社をカリフォルニアから移転するのは、トヨタが初めてじゃなかったりする。

2006年、北米日産はロス郊外のガーデナを去り、米国中部テネシー州のナッシュビル郊外のフランクリンに移転しているのだ。

北米日産の本社移転も、2006年。

表向きの理由は何にせよ、もう皆さん、お察しのとおり、近年、カリフォルニアが迷走を続けていることが背景にあると考えた方が、何が起こっているのか分かりやすいだろう。

ちなみに、これで日本の3大自動車メーカーのうち、カリフォルニアに本社が残っているのは、ホンダだけになる。

ただし、実はホンダは、米国中部オハイオ州に研究開発拠点と大型工場を持っていて、すでに昨年、上級社員をトーランスからオハイオ州へと移動させていたりするのである。

【ご参考】●カリフォルニアに愛想尽かしたトヨタhttp://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304408504579565023659003350

とにかく、日本国内で皆さんが想像しているイメージと、実際に米国内で当たり前になってるイメージでは、大きな違いがある、ということは、覚えておいた方が良いだろう。

同じアメリカだから・・・なんて思ったら、とんでもないことになるかもしれない。

広大なアメリカでは、地域によって、状況はまったく異なり、めちゃめちゃ多様なのである。

特に、近年のカリフォルニアは迷走を続けているので要注意だ。

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「多様性のもたらすもの」のコーナーでは、より良い日本の未来を築くうえで、役立ちそうな発想や情報を織り交ぜながら、ニューヨークの最大の魅力である「多様性」について感じたことや思っていることを書き綴っていこうと思います。

また、逆に、人口の98%以上が日本人であるため、ニューヨークのような「多様性」が社会に見られない日本だからこそ持つ長所や強みなどについても取り上げていきます。

いずれにしても、日本の中にいると気づかなかったり、見過ごしがちなアイデアや視点を少しでもお届けできれば良いかなと思います。

りばてぃりばてぃ
ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。
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