今週のメルマガ:NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明

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今週のメルマガ:NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明

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© shutterstock/IxMaster


 1. 今日のニューヨーク vol.15 「コンビニ戦争」


僕たち在米の者からすると、久々に行く日本のコンビニエンスストアは、もぉう、ただのアミューズメントパーク。 楽しすぎてなかなか出られません!いや、本当。

まずアメリカには日本のコンビニのようなあそこまで照明が明るいお店がありません。 日本のコンビニにあたる、いわゆる、“街のほっとステーション”は、この街だと「韓国人経営のデリ」ということになるのでしょうが(確かに日本のコンビニくらいNY市の至る所に点在しています)、でも、それらはコンビニというより、見た目は「八百屋さん」に近い。 そして、暗い。 搬入時の段ボールのまま、マジックで値段を書かれた果物や野菜。 やっぱり「八百屋さん」です。

日本のコンビニは従来明るいワット数の電球を使う事により、入店するだけでワクワクするような効果をもたらす事も計算されての事だとか。 それにすでに慣れてしまっている日本の日本人より、僕たちの方がその企業戦略の手のひら状態な気がします。 入店するだけで、興奮。 それに輪をかけて興奮させる要素が、ファミリーマートにはファミリーマートの、セブン-イレブンにはセブン-イレブンの、オリジナルの店内放送があること。 アメリカにはゼッタイない。 「暖か~い、おでんの季節になりました♪ 当店では一品どれでも70円のキャンペーン中で~す♪」なんて流れて来た日には、無意識におでんを買っています。 思うツボです。

日本のコンビニに入った際の「いらっしゃいませ~♪」には「“ちゃんと”無視しなければいけない」という日本のルールを聞いて、しっかりと意志を持ち「ゼッタイ無視してやるぞ」と決意して入店した先日の東京出張。

条件反射に流されないように、シッカリと無視してやりました。 (ちょっと店員を睨み気味で)

7年ぶりに入ったコンビニは、入店の瞬間から記憶をなくすほど、興奮して、楽しくて。 特にパン売り場コーナーなんて、ハァハァ息づかいが荒くなっていたと思います。

というのは、現在小麦粉の輸入が禁止されているので、NYの日系グロッサリーでも日本のパンを売ってないのです。 つまり7年ぶりに日本のパンに遭遇!したということです。

想像してみてください。 日系人でもなく、27歳まで普通に日本人として日本で暮らし、毎日のようにコンビニに通っていた日本人が、7年間一度もコンビニに立ち寄らず7年ぶりに行った瞬間の感動を。 日頃、カッチカチのベーグルしか食べてない人間が7年ぶりの日本製のパンを見た瞬間の興奮を。

もぉぉぉぅう、すべてがヤバいくらい美味しそうに見えます。 もちろん7年ぶりということはほとんどが初めて見る“新製品”です。

この興奮を伝えるため、その場でケータイで地球の裏側に国際電話を掛ける。 電話に出た、ちょうど日本と真逆のこの時間、新聞の入稿をしているニューヨークのうちのスタッフどもに、「おまえ、モッチリ食感 塩キャラメルロールって知ってるか?」ともしもし、の前にいきなり問う。 「社長、切っていいっすか?」

ここで計算に入るわけです。 できることなら、この棚のパンすべてを食べたい-。 でもさすがにソレは無理だから、3個か。 いや、4個はいけるな。 この中の選抜4個-。 あまりにも残酷な、そして過酷な選択です。 ここ数年稀に見るほどの真剣勝負で、仕事でも見せた事のない真剣な表情で4個を選ぶ事15分-。

ガン飛ばしながら入店してきた男が、今はパンコーナーでハァハア言ってる。 (ただの変質者だよw)

(あ。 あとヤマザキの「ランチパック」だっけ。 アレ、もう国の重要文化財にした方がいいよね)

退店しようとした時、1台のトラックがバックオーライの掛け声と共に店先に駐車しました。 見ると、新しいパンの搬入トラック。

……これ、新商品が交じってるかもしれない搬入を見届けるまで、出れないよね……。

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NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明
全米最多発刊部数の邦字新聞「WEEKLY Biz」の発行人、高橋克明です。新聞紙面上や、「アメリカ部門」「マスコミ部門」でランキング1位になったブログでは伝えきれないニューヨークの最新事情、ハリウッドスターとのインタビューの裏側など、“ イマ”のアメリカをお伝えします。

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