
イールドカーブで見る世界の中央銀行の緩和水準
さて、とりわけ米景気が力強いです。これをけん引しているのは、明らかに米消費者の支出です。さて、それにしても米消費者はなぜこんなに支出できるのでしょうか?それは、金利が低いため、借金をすることができるからです。
■■1.英語原文
(Does Solid Jobs Report Raise Probability of Fed Rate Hike?)
(1)
U.S. Treasury yields rose across the yield
curve last week, except for one-month and
three-month Treasury bills.
A better-than-expected US jobs report raised
speculation that the Federal Reserve may raise
interest rates in 2016.
(一部引用 Market Realist | By Lynn Noah Mar 7, 2016 10:14 am EST)
■■2.英文構造診断
(Does [Solid:堅調な] [Jobs Report:雇用統計]
Raise Probability of Fed Rate Hike?)
(1)
U.S. Treasury yields /S1
rose /V1
[across:全域で] the yield curve /
last week, /
[except for:~を除いて] /
one-month and three-month [Treasury bills:国債].
A better-than-expected US jobs report /S1
raised /V1
[speculation:憶測] /O1
that /
(( the Federal Reserve /S2
may raise /V2
interest rates /O2
in 2016.
))
・・・・・・・・・・・
■■3.対訳
(Does Solid Jobs Report Raise Probability of Fed Rate Hike?)
(堅調な雇用統計は、Fedの利上げ観測を引き上げたのか?)
(1)
U.S. Treasury yields /S1
rose /V1
[across:全域で] the yield curve /
last week, /
[except for:~を除いて] /
one-month and three-month [Treasury bills:国債].
(先週、国債金利は、1か月、3か月国債を除いて
イールドカーブ全域で上昇した。)
A better-than-expected US jobs report /S1
raised /V1
[speculation:憶測] /O1
that /
(( the Federal Reserve /S2
may raise /V2
interest rates /O2
in 2016.
))
(予想以上の雇用報告が、連邦準備制度が、2016年に金利を
引き上げる可能性があるとの観測を引き上げた。)
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■■4. 訳出のポイント解説(英語)
(無料版では、有料版冒頭部のみ掲載しています。)
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今日の文章は、割とすっきりしたものが多かった気がします。
(6)のように、長い文章でも、入れ子がない文章は、理解が容易ですね。
さて、今日は(5)に注目してみましょう。
(5)
He /S1
believes /V1
[[ /O1
the Federal Reserve /S2
will [ease:緩和する] /V2
its [monetary policy:金融政策] /O2
]]
Dalio /S3
said./V3
(彼は、連邦準備制度が、金融政策を緩和すると
信じていると述べた。)
ここでは、名詞節というものがO1にきています。
この名詞節というのは、実は、thatがあるかないかで、
形容詞節になることもあります。
今日の文章にthatを挿入してみると、
He /S1
believes /V1
that /O1
(( /O1
the Federal Reserve /S2
will [ease:緩和する] /V2
its [monetary policy:金融政策] /O2
))
Dalio /S3
said./V3
となります。
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■5.経済コラム
いやー、イールドカーブのことについて言うのは初めてなんですが、
案外、説明が難しいんですよね。
しかし、この指標は非常に面白いので、覚えておいて損はないと思います。
この指標は現代の金融社会において、非常に実用的だと思います。
要は、短期金利と長期金利の差を表しているわけです。
国債の金利は、ブルームバーグのサイトに載っていまして、
日銀の場合は、
3か月物国債 -0.08%
1年物国債 -0.2%
10年物国債 -0.05%
30年物国債 0.68%
http://www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html
となっています。
大前提としまして、長期の国債のほうが、お金を長く貸すという
約束をするわけなので、リスクは高くなり、貰える金利も高くなるのが普通です。
現在の日本は、短期国債だけでなく、長期国債も買いまくっているので、
金利は10年国債までマイナスに波及しています。
さすがに30年物となると、まだ金利はプラスですね。
基本的には、このイールドカーブの傾きが急であればあるほど
(3か月もの国債と30年国債の金利差が大きいほど)
緩和的であると言えます。
ただ最近は、長期国債も日銀が買い始めていますので、
正直、長期国債も低くなってしまい、イールドカーブの傾きは、
引き締め時 フラット(7%~8%あたりで)
緩和時 傾斜アリ
超緩和時 0金利でフラット
デラックス超緩和時 マイナス金利で傾きが生まれるという、状態になっています。
今のアメリカは、「緩和時」程度ですが、EU、日本は
「デラックス超緩和時」(私が勝手に作った言葉です(笑))
状態ですので、緩和的です。
歴史的に見れば、未だ緩和水準ですし、いろいろなリスクが蔓延していますので、
レイ・ダリオが言っていることは、正しい気がしますね。
世界はまだまだ緩和水準です。
■■6.もう一度原文
(Does Solid Jobs Report Raise Probability of Fed Rate Hike?)
(1)
U.S. Treasury yields rose across the yield
curve last week, except for one-month and
three-month Treasury bills.
A better-than-expected US jobs report raised
speculation that the Federal Reserve may raise
interest rates in 2016.
著者:八木 翼
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八木 翼
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