えっ、聞かれちゃった!(Toyota)

えっ、聞かれちゃった!(Toyota)

cmde

【えっ、聞かれちゃった!(Toyota)】
車のセールスパーソンが営業トークの練習。それを聞いていたのは・・・

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【赤い文字の部分に注意して聞き取りましょう】
Man 1: Hi Jan. Can I (※1)run something by you?
Woman: Sure, okay,
Man 1: Imagine you’re a customer.

Every new Toyota comes with ToyotaCare, a 2-year,
25,000-mile maintenance program that includes
24-hour roadside assistance at no additional cost to you.
Man 2: I’ll take it!
Man 1: (※2)That’s weird.
(※3)It’s like he could hear us somehow.
Narration: Every new Toyota comes with ToyotaCare, a 2-year,
25,000-mile maintenance program that includes
24-hour roadside assistance at no additional cost to you.

Toyota. Let’s go places.

【発音部分の説明】
●できるだけ実際の音に近い音をアルファベットとカタカナで記しますが、あくまで参考です。
●曖昧母音(発音記号 が e の上下逆さまになったもの)や曖昧母音以外の母音で非常に弱くなった母音を @ で表記します。
●カジュアル度の高さは♪から♪♪♪で表わします。
♪:フォーマルな会話で使っても問題ない
♪♪:カジュアルな会話向け
♪♪♪:カジュアル度高し

(※1)run something by ⇒ run s’m[th]‘n’ by
☆♪♪ something ⇒  s’m[th]‘n’
母音はほとんど発音していません。some が[s'm]となることはよくあります。語尾の g も聞こえません。これは -ing で終わる語では、ごく普通です。
いちばん手ごわいのが thing の[th]。表記しようがないので[th]と、とりあえず書きました。th 本来の音である、舌と上の歯の間を息がこすれて通りぬける音、摩擦音は、全くといっていいほどしません。
th が、こういう音になるときは、舌先は上の歯の下端に軽く当たっているままで引っ込めないか、人によっては、舌先を上の歯の裏に当てるだけで、破裂させない破裂音のような要領で発音しています。
もっと省エネが強くなると、something が s’mm’n’とでも表記するしかないような音になります。

[th] の正しい音を知らないとこの something には、ひたすら面食らうだけかも知れません。TH の発音は「舌先を上下の歯で噛む」と教わった方もいるかも知れませんが、これが勘違いのもとです。
口の形だけ見ると、舌が上下の歯にはさまってはいるが、噛んでいるわけではありません。(それに噛んだら痛いですし)

THの発音の要領は、まず上の歯の下端に舌先を軽くあてます。下の歯からのプレッシャーは全くなし。舌先の、ほんの先っちょだけでいいです。そして、上歯の下側をツルッと軽くなでるようにして、舌先を口の中に引き戻しつつ、息を強めに出します。

そのときの舌を歯の間を息がこすれて通りぬける音が TH の音です。舌先を、どのくらい前に出すかは人それぞれの癖もあります。だいたいにおいて、かなり前に出して発音するのは、TH の入った語を強調したいときです。
(※2)♪ That’s ⇒ that’s
おっとお、また TH です。語頭の th は、こんなふうに弱くなることが時々あります。この例は、かなりハッキリしているほうで、省エネ発音とはいえないかも、というレベルです。もっと弱くて、ほとんど聞こえないこともあります。

そういう音は上で説明した[th]の正しい音を知っていないと、気づかないまま、聞き逃してしまいがち。正しい発音を、自分でもそれなりに似せて発音できるようになれば、それだけリスニングにもプラスです。
≪語頭の TH で、もっと弱くなっている音のサンプル≫
(※3)It’s like he could hear us ⇒ ’ts’lie’ (h)ikd hear us
☆♪♪ It’s like ⇒ ‘ts’lie’
It’s の出だしの母音は、ほとんど聞こえません。こういう It’s の文頭はよくあります。また like の語尾の破裂音[k]も聞こえません。ただ、[k]の部分に音が詰まっている「音にならない音」があるのがわかります。
このように It’s で始まる文頭は、It’s の出だしの母音がほとんど聞こえず、また、It’s と次の語の間には文字で見るようなスペースはなく、ひとまとめに発音する、というパターンが多いです。

It’s all right. ⇒ tsallrigh’.
It’s my fault. ⇒ tsmyfault.
It’s not… ⇒ ツナッ…

☆♪♪♪  he could ⇒  (h)ikd
この he は、かなり聞き取り難いです。ここまで弱い he というのは、あまりないので、これが聞けなくても気にすることはないです。h の音もかなり弱くなっていますし、なによりも母音がすごく弱い。
この音だけ聞いて”he”かどうか考える、聴き取れるように努力する、というのはあまり意味がありません。ネイティブが聞く場合でも、彼らが無意識にやっているのは、
["he" のように聞こえる弱~い音がした]

次にあいまいな could がきて、hear us somehow.と文が終わった。

そうすると、文全体、文脈から総合的に見て、この弱~い音は、やはり he でしかありえない。
と決めていくプロセスです。

could は、母音がほぼ落ちています。これも強めの省エネ発音ですが、これは、しばしば耳にする音です。
【語句と表現】
☆roadside assistance 「けん引車サービス、路上支援」
☆weird 変な、奇妙な
☆somehow どういうわけか、どうしたものか

【動画部分の翻訳(意訳)】
Man 1: ハーイ、ジャン。君の意見を聞きたいんだけどいい?
Woman: もちろん、いいわよ。
Man 1: 自分が顧客だと想像してくれよ。

トヨタの新車には、どれでもトヨタケアーがついてきます。
これは、2年間、2万5千万マイルまでのメンテナンス(保守)プログラムです。追加費用なしで、24時間体制の けん引車サービスも含まれています。
Man 2: それ、もらったあ!
Man 1: 変・・・だなあ。
彼、どういうわけか、僕達(の会話)を聞けてたみたいだ。
Narration: トヨタの新車には、どれでもトヨタケアーがついてきます。
これは、2年間、2万5千万マイルまでのメンテナンス(保守)プログラムです。追加費用なしで、24時間体制の けん引車サービスも含まれています。

トヨタです。いろんなところ、行きましょう。

【こぼれ話】
セールストークの練習が筒抜けになっちゃいました。上出来のプレゼンだったんでラッキーだったかも。

この男性、小さなミスを気にせず元気にニコヤカ、顧客のところに向かう姿がスガスガしいです。

同僚のゴシップ話なんかがそこいら上に聞こえてしまった。それでも元気に客のほうに歩み寄る。

そういう設定のほうが面白かったのに、と思うのはひねくれてますかねぇ……。

matsuo

Koji Matsuo
松尾 光治
大手英会話学校のニューヨーク校駐在員として1989年に渡米。その後、カリフォルニア、シリコンバレーのハイテク企業で9年ほど勤めたのち独立、現在はニューヨークで通訳・翻訳業。
日本人が苦手とするカジュアル英会話を翻訳家の松尾光治氏が伝授!
テレビCMで英語の省エネ「タメグチ」発音攻略!』毎週好評配信中!
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